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Unica Zurn


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前から行きたい行きたいと思っていたUnica Zurnの展覧会に、今日やっと行くことができました。

Unica Zurnとは1916年ベルリン生まれの、詩人であり小説家でありイラストレーターであり画家でもある女性アーティスト。そしてなんと言っても、このブログでもその展覧会について書いたことのあるハンス・ベルメール(参照:http://kanaparis.blog59.fc2.com/blog-entry-19.html、そしてhttp://kanaparis.blog59.fc2.com/blog-entry-99.html)の妻であった人です。


この人。きれいな人。

彼女の作品に初めて出会ったのは、2ヶ月ほど前に知り合いのアーティストのアトリエに行ったとき。彼はヴィンテージのポスターだとか19世紀のどこどこ民族のマスクだとかのコレクターで、アトリエにはいつも面白いものがいっぱい転がっているんですが、その日、彼のアトリエに入った瞬間、私の目に留まったものが彼女のデッサンでした。
「これ誰の?」と、彼の友人のアーティストか誰かが描いたものかな?と思って無邪気に聞く私に、
「これね、Unica Zurnっていってハンス・ベルメールの奥さんやった人のデッサン。今度パリのHalle Saint Pierreで彼女の展覧会があるから貸してくれって連絡が来たから、アメリカに置いてたんやけど送ってもらったんだよ。」
「めーーーーーっちゃステキやな。知らんかった。」
「そうやなあ。あんまり知られてないかも。彼女はね、パリのサンタンヌ病院っていう有名な精神病院に入院していたことがあって、ほらここ見て、Sainte Anneってサインが入ってるでしょ。」
「ほんまやー、それにしてもUnicaってきれいな名前。」

そのノートを破って描かれたデッサンにすっかり魅了されてしまった私はそれからしょっちゅうUnica Zurnのことを考えて過ごしていました。そんな私だったからかどうかはわからないけれど、現代アート雑誌にもこの展覧会の批評がいくつも載っていて、想いは募るばかりでした。

こちらHalle Saint Pierreのホームページ。モンマルトルのサクレクール寺院の横にある建物で、有名なコレクターMax Fournyが創設したArt Naif(素朴派)美術館にもなっています。
http://www.presse-hallesaintpierre.org/pge/dernier.php?communique=265



Unica Zurn(日本語ではウニカ・チュルンと読むみたいです。)は1916年にベルリンに生まれ、両親の離婚など、不幸な幼少期を過ごし、早くからアーキビスト(古文書保管人)やシナリオライターなどの仕事に就きます。1942年に結婚をし専業主婦として2人の子供をもうけますが、1949年には離婚。子供2人も父親に引き取られ、彼女は新聞に物語を掲載したりなどしながら、ボヘミアンな生活を送り、ベルリンアート界になじんでいきます。

そして1953年、ハンス・ベルメールとある展覧会のオープニング・パーティーで出会い、一目ぼれ。パリへと向かいます。ベルメールにより、彼女は当時のパリのシュールレアリストのアーティストたちと出会います。(Jean Arp, Andre Breton, Meret Oppenheim, Max Ernst, Marcel Duchamp, Victor Brauner, Man Ray, Patrick Walberg, Andre Pieyre de Mandiargues, Henri Michauxなど)彼女は、シュールレアリズムのアナグラムやデッサン・オートマティックの用法を取り入れ、何度も展覧会を開きます。
1954年にはベルリンにて、彼女にとって最初の本であり、10のデッサン・オートマティックと10のアナグラムを組み込んだHexentexteを出版します。

1957年、最初のノイローゼ。1962年から1966年、L'Homme-Jasmin(ジャスミンおとこ)の執筆。
ジャスミンおとこ―分裂病女性の体験の記録 ジャスミンおとこ―分裂病女性の体験の記録
ウニカ チュルン (1997/10)
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1967年、Sombre Printempsの執筆。

彼女の人生の最期の8年間はベルリンのWittenau病院、パリのSainte Anne病院、Maison Blanche病院、ラ ロシェルというフランスの地方の病院、La Chesnaieクリニックなどの、精神病院での滞在を繰り返します。

そして1970年10月19日、病院からの5日間の自宅での短期滞在が許可され、何の問題もなくハンス・ベルメールとの一日を過ごしたあと、アパートの窓から身を投げて自殺します。

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今回での展覧会では50年代後半から60年代にかけて、Unica Zurnがハンス・ベルメールと生活を共にしたであろう(病院じゃムリか)フランス滞在期間の作品が集められていました。

前半の作品で、まだ精神病院には入ってない頃だと思いますが、デッサンが破られて、また張り付け合わされていたことが衝撃でした。あれはわざとか?やっぱり堕ちていく最中だったのか?

デッサンはたまに水彩絵の具が使用されていますが、ほとんどは中国のインクで非常に細かく描かれていて、モチーフのディテールに対する執拗さが、中国インクでしか出せない、どんなに細い線であろうともその存在を主張する、本当の深い深い黒と相まって、各作品の素晴らしさが生まれていました。
彼女は、自分の幻覚を描いたのでしょうか。そこには、人間のような鳥のような魚のような形が織り合わさっています。作品の前に静かに立って、じーーーーーーーーっと見つめていると、私の視覚で捉えられそうになった瞬間に、それらのフォルムはまた別のフォルムへと変形し、私から遠く離れていってしまうのです。

本当に素晴らしいデッサンたちと、満足のいく展覧会。
ヨーコ・オノコレクションの作品が多くありました。

ここに書くべきか迷ったこと。
それはハンス・ベルメールの作品が2点展示されているのですが、その一つがとても小さなデッサンで、彼の主要作品ではないにも関わらず、目の玉が飛び出るくらい素晴らしかったことです。
もうほんまにごめんやけど、ウニカの作品たちも素晴らしいからほんまに申し訳ないけれど、そこにテクニックと才能の差をまざまざと見せ付けられたようで、愕然としました。ハンス・ベルメールはやっぱりすごいおっちゃんやったんや。
もうひとつはウニカの紙に描かれた肖像画がキャンバスに貼り付けてあるんですが、その貼り付けられ方が、わざとでしょうが紙をしわくちゃにしてあったこと。まるで割れたガラス越しにウニカを見ているようで、愛する人が堕ちていってしまうのを横で見ながらも何もできなかったハンス・ベルメールの苦しみを感じました。


この展覧会は2006年9月25日から2007年3月4日まで。
Halle Saint Pierre
2 rue Ronsard
75018 Paris
tel:01 42 58 72 89
Metro: Anvers/Abbesses
10hから18hまで毎日開いてます。

機会がある人は絶対行ってください。オススメです。

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11/06 07:12 | 展覧会 | CM:5 | TB:0
初めてブログ拝見させてもらいました。期間中私も是非ウニカの展示会行ってみようっ。ポンピドゥーでやってたハンスベルメール展には私も脱帽させられました。あと、だれだれ(有名アーティスト)の妻っていうひびき、弱いんですよね。ジョンレノンの妻オノヨーコとか、坂本龍一、矢野顕子とか、バルテュス、節子夫人とか。これからもアート情報ちょくちょくのぞかせてもらいます。
こんにちは、はじめまして。
よくのぞかせてもらっています。
いつも、知らなかった事がたくさん書かれていて、いつもいろんな事を考えさせてもらえます。
これからも長く続けてくださいね。では!
たらさん、はじめまして。
彼氏は「だれだれの妻ってよく気が狂うよね。」って言ってたけど、それはちと違うんじゃないかい?と思っていました。いっぱい例を出していただいたので、「やっぱりちゃいがうやん。」と言ってみます。
これからもどうぞよろしく~。
ウニカ・チュルンどうぞ行ってください。

sidoredoさん、はじめまして。
どうもありがとうございます。
がんばって続けていきますので、応援のほど、よろしく!
こんにちは、はじめまして。
彼女はいわゆる精神分裂症だったんですよね。ルイス・ウェインとか分裂症の方の絵は、なにか胸に来るものがあります。ウニカの絵もとても美しいんですが、どことなく狂気をはらんでて怖いです。
やはり幻覚をみてるんでしょうか、、、
KOJIさん、はじめまして。
ウニカの作品を観て、草間さんを思い出しました。草間さんに水玉がいつも見えているように、ウニカはこのような線がいつも見えてるんかなあって。
基本的に好きじゃないんですけどね。精神的に病んでる人の作品って。
ウニカのは好きですけど。
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