フランスアート界底辺日記//パリの某現代美術ギャラリーでハタラクune petite japonaise(ちっちゃい日本人の女の子)が、ピラミッドの底辺から垣間見るフランスアート界。
2006/12/23 (Sat) Akram Khan & Sidi Larbi Cherkaoui



にほんブログ村 美術ブログへ

素晴らしいものを観た。

それはAkram Khan & Sidi Larbi Cherkaouiによるzero degrees。
去年のクリエーションで発表されるやいなや、フランスのダンス批評で大絶賛されていた作品。批評で大絶賛されている頃にはもちろんチケットは完売していて、めちゃくちゃ悲しかったんですが、今年も公演されると聞いて、朝っぱらから1時間ほど寒い中を並んでチケットをゲット。
今年(2006年−2007年。フランスでは9月から8月まで)は今日まで、Steven Cohen et Elu, William Forsythe, Richard Siegal, Vera Mantero, Daniel Larrieu, Emio Grecoの6つのコンテンポラリーダンスの舞台を観てきたけれど、いくつかはこのブログにも書いていたように、どれもいまいちだったんです。毎回、「生温い!なんだこの生温さは!」と失望していたんですが、それも今日、この舞台を観るために私に課せられた必要な行為だったのかもしれません。
そんなくらい素晴らしかった。


こちらアクラム カーン カンパニーの公式サイト。おしゃれだわ。http://www.akramkhancompany.net/

この人がAkram Khanで、
khan-cherkaoui.jpg


この人が Sidi Larbi Cherkaoui。裏返ってますけど。めちゃくちゃ体が柔らかいようで、舞台でもしょっちゅう裏返ってました。
khan-cherkaoui-2.jpg



この二人が振り付けもして、ダンスも自ら踊ります。音楽は4人編成で舞台裏での生歌&生演奏。衣装はKei Itoと日本人ですね。衣装もTシャツにスカートパンツってただそれだけなんですけれど、素晴らしかった。そのうえ私のアイドル、Antony Gormleyの彫刻が使用されています。舞台装置は右、左、正面の三方が生成りの少しだけ透けて見える麻のような生地で上から下まで覆われています。その生地が影絵の画面の役割も果たしていて、踊る二人の姿、そしてゴームリーの2体の彫刻の影を大きく、小さく、はっきりと、うっすらと映し出します。影絵の利用の仕方もデュクフレ並みに素晴らしかった!

ゴームリーの彫刻がちら見えする写真。
ZeroDegrees_000.jpg



よく考えてみたら、私がよく鑑賞するコンテンポラリーダンスの舞台は、舞台上に何人ものダンサーが登場してくるものが多く、そうなると、二人一組で踊る場合、その組み合わせが男女になる確立が90%近く。今回の舞台は二人の振り付け師による二人だけのダンス。まさに一騎打ちです。感動しまくってほぼ半泣きだったんですが、この二人の一騎打ち、磁石のN極とS極が引き合うように、また同じ極が反発し合うように二人のダンスは進んで行きます。そこから出るエネルギーは、まさに私が今まで観たことがないほど強いもので、舞台には二人と彫刻2体しか存在しないのに、大勢が走り回って踊っている舞台なんかよりもずっと小さく見えました。

ときには一人のエネルギーがもう一人に反映されたり、二人が絡み合って二人分以上のエネルギーがほとばしっていたり、二人がぶつかり合って火花が散っていたり、また笑うところも、一人ずつのソロもきちんと用意されていて、本当に飽きない素晴らしい舞台。

photo1.jpg


私は今までにこんなに素晴らしいダンサーを観たことがないとも思いました。それはアクラム カーンのこと。指一本動かすだけで、こんなに私にいろんな感情を呼び起こさせてくれる人がいたなんて。ほぼ恋してます。ちなみに彼のお尻もキュップルンってしてていけてます。ってまあそんなことはどうでもいいんですが。

よく私は「素晴らしい」だとか「美しい」だとかいう言葉を絶賛の言葉として使用しますが、今日は久しぶりに感じた「完結している」の一言につきます。
私が言う「完結している」というのは別に、「完璧である」とかいう類いのものではありません。
とにかく「完結している」と思うもの。ダンスも振り付けも音楽も照明も舞台も、そして観客の反応も、私たち人間の持つすべての感覚を用いて、そしてすべての視点において、完結しているという意味。これからの発展を観たい、もっとこの舞台を何度も観たい、続きが知りたい、という感覚を残しながらも「完結してしまっている」ものが、アートの世界にはあると思うのです。それが私にとっての最高の褒め言葉であり、私の感動を伝えることのできる最適の言葉だと思っているので、今日の舞台にはこの言葉を。

そして私を本当に感動させたものが、二人のダンサー コレグラファーがこの作品を創作するにあたって、ぶつかり合い、反響しあい、楽しんだことがとても感じられたことです。二つの巨大な才能が混ぜ合わされてうまく観客に提供されることっていうのは、以外に少ない機会だと思います。この舞台を観ながら、まるで舞台と共に、彼等が共有し合って作品をつくりあげた時間までもが私たちの目の前に表れてきたのです。メイキングも入ってるDVDみたいな感じ?

あー幸せ。ほんとに幸せな気分を味わわせてもらいました。
どうもありがとう。これからも素晴らしいものをつくり続けてください。


舞台終了後も拍手とブラボーの喝采は鳴り止まず、結局5回くらい舞台に出てきたはったかな。

今日の私の「コンテンポラリーダンスの舞台を見る前」の個人的精神的肉体的状態も非常に良かったんです。おなかも空いてなかったし、会場にもゆっくり入れたし、心のモヤモヤやイライラも一握りとしてなかったし。そういうニュートラルな自分を用意することも、舞台を素直に受け止めるためにとても大切。

ここから写真がたくさん見れますよ。http://www.dance-photo.de/examples/zerro/zerro.html


今日も励ましのクリック2回お願いしまーす!


にほんブログ村 美術ブログへ

コンテンポラリーダンス | trackback(0) | comment(2) |


<<タカノ 綾、Mr、青島 千穂@リヨン現代美術館 | TOP | ポンピドゥーセンター:数年がかりの人員募集レポート>>

comment











管理人のみ閲覧OK


はじめまして  ネットで検索して偶然拝見しました。
作家志望のmomoです。
アートはフランスっていいますけど本当にすごいですね X D
恥ずかしながら一度も訪ねた事がないので. .
とても行ってみたくなりました。
こんなにフランスのアートに触れられているのでうらやましいデス :D

2006/12/23 23:31 | momo [ 編集 ]


momoさん、はじめまして。
どうもコメントありがとうございます。
アートはフランス、この言葉が現代アートにおいてまだ通用するのかはわかりませんし、如何せん他の街(ニューヨークとかロンドンとかベルリンとか)に住んだことがないので、断言できませんが、刺激的ですよ。っていうか見るものがいっぱいある。ちっちゃいパリという街の中にギュッと詰まっている感じですかね。歩いてまわれるし、現代アートに触れるにもお金がかからないのが素敵ですよ。
これからもよろしくお願いします。

2006/12/26 19:04 | kana [ 編集 ]


trackback

trackback_url
http://kanaparis.blog59.fc2.com/tb.php/128-ef462d12

| TOP |

UNIQLOCK

プロフィール

Author:kana
パリにある現代美術ギャラリーで下っ端としてハタラク。

京都生まれの京都育ち。2000年5月にフランスはリヨンに来て4年何ヶ月かほど過ごし、2004年9月から現在に至るまでパリに住んでます。

こんなものも書き始めました。
「パリ現代アートギャラリー攻略ブログ」
http://kana-sunayama.iza.ne.jp/blog/
こっちでも書いてます。
SHIFT
http://www.shift.jp.org/

パリ、フランス、はたまたヨーロッパ圏内での展覧会やアート系のスポットに関する取材、インタビュー、執筆など承ります。依頼や問い合わせなどは、お気軽に一番下のメールフォームからお送りください。

フランス人の友人と共に、キュレーター団体をNPO法人としてパリで立ち上げました。
そんなわけでとにかく少しでも多くのアーティストさんたちとの交流を求めています。
「こんな面白いアーティストを知っているよ。」という人は立候補でも推薦でも、気軽にコンタクトください。
(と書いたら、早速たくさんのメールを頂くようになりました。ひとりひとりにお返事ができない状況です。返事がなくても落ち込まないでください、、、。)

やる気が出るのでクリックください。
よろしく!


にほんブログ村 美術ブログへ

Calender

FC2カウンター

カテゴリー

最近の記事+コメント

最近のコメント

最近のトラックバック

リンク

Amazon.jp

月別アーカイブ

ブログ内検索

RSSフィード

Powered By FC2ブログ

Powered By FC2ブログ
ブログやるならFC2ブログ

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文: