フランスアート界底辺日記//パリの某現代美術ギャラリーでハタラクune petite japonaise(ちっちゃい日本人の女の子)が、ピラミッドの底辺から垣間見るフランスアート界。
2007/02/01 (Thu) 別離



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今日2007年1月31日はポンピドゥーセンターが開館してちょうど30年目です。
朝からそればっかり。まだ意識のはっきりしないベッドの中で聞くラジオから、ポンピドゥーセンター30周年ということでラシン(館長)とパックマン(学芸員長)とヴェイヤン(アーティスト)がインタビューを受けていました。
17時から19時まではギャラリーのオーナーも30周年式典に参加しに行きました。戻ってきたオーナーの袋の中身を早速漁ってみたら、30周年のどうしようもなくダサいポスターと30周年記念のしょうもない本とピエール・マルコリーニのチョコレートと音楽も聴けるUSBメモリーでした。
ポスターと本はすぐにゴミ箱へ、チョコレートはすぐに私のおなかへ、USBメモリーだけが残りました。


そんなことはほんまにどうでもよくって、、、
本題。

私がギャラリーで働き始めてから、ギャラリーお抱えアーティストがギャラリーから離れていくということが何度かありました。

よく思い出すと、一人目はもうあまり連絡を取らなくなっていて大したケアもなかったけれど、作品がいくつかギャラリーに残っていたアーティスト。彼女の場合は一作品だけギャラリーが購入して、それ以外、っていっても10作品もなかったけれど、アメリカに送り返しました。

2人目はアーティスト自身から話がある前に、周りから「○○はあっちのギャラリーに行くことになった。」とウワサに聞いたとても悪い例。
そんな状態だったので、コミュニケーションも手紙のやり取りなんかでとても後味の悪いものになりました。そのアーティストの直属のアシスタントさんとも仲が良かったのでとても残念でした。
彼が別のギャラリーに行ってからも、彼から脅迫(!)の電話がかかってきたり、なんだか嫌な感じです。
オーナーとしてはかなりダメージを受けていたようだけれど、「彼は自分が育てたんじゃないから。」ということで受け止めたようです。

そして現在、3人目。彼女はまず手紙を書いてきて、驚いたオーナーがすぐに電話。彼女に3日後に話をするためにわざわざ国境を越えて会いに行ったわけですが、やっぱり話がうまくいかなかったようです。
私たちアシスタントとしては、オーナー側からの話のバージョンしか入ってこないのでなんとも言えませんが、なんだかなあ。
このアーティストはオーナーがギャラリーを開いた10年以上前から大事に大事に育ててきた人です。今では結構有名でよく売れているし、ギャラリーには欠かせないアーティストの一人でした。
このアーティストの現在の状況と、今までの関係をオーナーから聞くと、どうして彼女が、ある別のギャラリーに行くのかまったく納得がいきません。でもそういうもの。以前にはめちゃくちゃ有名で乗りに乗っていたアーティストさんたちも、ギャラリーを替えた瞬間売れなくなったりっていう話はゴロゴロしているのです。
彼女の言い分をオーナーから聞いても、なんだか子供がダダをこねているようにしか思えない私。っていうかその論理は成り立たなくない?みたいな。みんないくつになってもいろいろ悩んでるんやね。と他人事で済ませますが、そこはストック管理責任者の私。このアーティストのギャラリーに保管してある全作品をアトリエに送り返すという作業の真っ最中です。これがまたでてくるでてくる。50作品以上はあるね。まさにアーティストとギャラリーの10年以上にもわたる密な付き合いを目にするよう。

毎回お抱えアーティストがギャラリーから離れていくときは、まるで恋人同士の別れのときのような修羅場が繰り広げられるんですが、そんな二人の別れの後始末をしているような感覚になります。
そう、まさに一緒に住んでいたカップルが別れることになって、友達の私がアパートに行って出て行く方の荷物をまとめて引っ越すような、、、。
「今荷物まとめてるけど、でもまた戻ってくるかもしれないし。明日になれば「やっぱり」って電話してくるかもしれないし。」
そんな風に思うのです。

マネーマネーマネーの世界だけれど、そんな人間劇場も広がってるんですよー!


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Re: 別離

アーティストとギャラリーの信頼関係っていうのも、
仕事とプライベートとが入り混じってしまいそうですが...
一線をきちんと引かなきゃいけない時ってあるんでしょうね。
kanaさんが抱えているものは快復の兆しでしょうか...?
一応援団として、気になっていましたよ〜!

2007/02/01 08:34 | inena [ 編集 ]


Re: 別離

アーティストからメールで一本でお別れを告げてきたなんていう例もざらにあるみたいですね。ギャラリー側は、普通はアーティストの好きなようにさせるみたいです。これとばかり、なんて。ギャラリーの数にくらべてアーティストの数は圧倒的に多いですもん。もっと少ないのはコレクター。しかし、アーティストは、なんとせよ、芸、で生き残るものの、ギャラリーの継続こそ大変。

2007/02/01 18:24 | さん [ 編集 ]


Re:

こんにちは。
kanaさんが、アーティストがギャラリーから離れる時の例えが「恋人同士の別れのときのような修羅場」と書いていたのが面白かったです(笑)

やっぱり人と人が関わる以上は、ある程度のことは避けられないのでしょうか。。。私も仕事をしていて、似たような事がたまにあるんですが、やはり周囲から噂が立って、辞めて行かれる時の後味の悪さ…。うーん、難しいですね!Kanaさん頑張って下さい!

2007/02/01 22:19 | Mano [ 編集 ]


Re: 別離

inenaさん、こんにちは。
そうですねー。仕事上の関係とはいえ、そこには契約のないものですから固い信頼関係が必要になるんですよね、きっと。
少しは元気になりましたー。っていうかいちいち考えても答えが出るときが早まるわけでもなんでもないし、考えないことにしました。なんだか一言書いただけやのに、心配してもらってすいません。そしてありがとう!

さんさん、こんにちは。
そうですねー。
ま、お互いが向上していける終わり方だったらいいんですけど、毎回そうとは限らないし、特にギャラリストのほうはストラテジーやキャリアを冷静に分析して考えますが、アーティストは全体を眺めて自分の立場なんかを分析する前に答えを出してしまう場合が多いと思います。もしくは誰も信じられないくらいにしたたかに動きまわるか。
どれにしても微妙ですね。

Manoさん、こんにちは。
ほんまに恋話聞いてるみたいな気分になるんですよ!「こう言ったら、向こうが泣き出して、、、」とか!聞いてるこっちもめちゃくちゃセンチメンタルな気分になります。
まあそんなのに流されずやってますがね。
他人のことかまってる暇ないですから!

2007/02/08 03:08 | kana [ 編集 ]


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Author:kana
パリにある現代美術ギャラリーで下っ端としてハタラク。

京都生まれの京都育ち。2000年5月にフランスはリヨンに来て4年何ヶ月かほど過ごし、2004年9月から現在に至るまでパリに住んでます。

こんなものも書き始めました。
「パリ現代アートギャラリー攻略ブログ」
http://kana-sunayama.iza.ne.jp/blog/
こっちでも書いてます。
SHIFT
http://www.shift.jp.org/

パリ、フランス、はたまたヨーロッパ圏内での展覧会やアート系のスポットに関する取材、インタビュー、執筆など承ります。依頼や問い合わせなどは、お気軽に一番下のメールフォームからお送りください。

フランス人の友人と共に、キュレーター団体をNPO法人としてパリで立ち上げました。
そんなわけでとにかく少しでも多くのアーティストさんたちとの交流を求めています。
「こんな面白いアーティストを知っているよ。」という人は立候補でも推薦でも、気軽にコンタクトください。
(と書いたら、早速たくさんのメールを頂くようになりました。ひとりひとりにお返事ができない状況です。返事がなくても落ち込まないでください、、、。)

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