フランスアート界底辺日記//パリの某現代美術ギャラリーでハタラクune petite japonaise(ちっちゃい日本人の女の子)が、ピラミッドの底辺から垣間見るフランスアート界。
2008/04/16 (Wed) Akram Khan&Sylvie Guillem 「Sacred Monsters」

ここ最近やったら忙しく、このブログの大切なネタである展覧会やギャラリーに行く暇も気力もありましぇん。フラフラですが、なんとかやってます。仕事の量が3倍くらいに増えた気がします。でも給料は3倍になってないのが問題。そんなわけでチケットを取っても見に行けないことが多いので、先月からコンテンポラリーダンスからも少しだけ遠ざかっていたんですが、今夜は前から楽しみにしていたアクラム カーンシルヴィー ギエムの「Sacred Monsters」を見に行ってきました。
私は何に関しても興味を持って深く追求するタイプの人間ではないし、だから何かのオタクにもなれないし、だから誰かのファンになることもありません。これは私の大きな欠点の一つであると自覚もしています。でもアクラム カーンは別。このブログでも今読み直すとちょっと恥ずかしいくらい大絶賛していた彼のダンスは本気で「これが好き!」と言えるし、彼のダンス姿ではなく、普通のポートレートを眺めてうっとりしたりすることがあるくらい好きです。かっこよすぎ。

世界中で大絶賛されているAkram Khan&Sylvie Guillemの「Sacred Monsters」。
sacredmonsters1.jpg


私はギエムの踊る姿を何度も見ているわけではありませんが、ここまで評価の高いダンサーであり、素晴らしい四肢を持つ彼女の場合、「ギエムにしか踊れないダンス」ってものが存在すると思います。私が今までに見た数少ない彼女のダンスでも、常に「うん、きれい。でもそれは振り付けがどうのこうのという問題ではなく、これは彼女のために創造されたダンスであって、彼女が踊るから美しいんやろな。」と背が低かったりちょっと小太りだったりするダンサーが存在できるという意味でもコンテンポラリーダンスが好きな私としては少し物足りないような感じがいつもするのです。

しかしアクラム カーンの創ったこの演目はそうじゃないように感じます。
ギエムが動くと、外にエネルギーを放出してブワーっと彼女の体からまき散らされる類いのダンスを踊るダンサーである、というその点ではギエムが踊る意味が非常にあったと思うけれど、この演目は他の女性ダンサーでも踊れる気がします。チンチクリンの私がえらそうなことを言ってしまえば、何度か「ああ!違う!彼女の手足が長過ぎる!」とまで思ったほど。私が去年見たアクラム カーンのSidi Larbi Cherkaouiとのコラボレーションでは、彼ら二人ともが体にエネルギーを内包して爆発し、それがはじけ合うという感覚を受けるダンスであったのとは反対に、ギエムの身体を中心に四方八方にブワーッと出て行くエネルギーをカーンがうまく受け止めて、バランスを取っているダンスであると感じました。
sacredmonsters2.jpg

それはSidi Larbi Cherkaouiとのコラボレーションが男性同士であったのに対して、今回は男性と女性という組み合わせがその感覚を助長させていたのかもしれません。

別の女性ダンサーと踊るこの演目はきっと考えられないことなんでしょうが、もしもいつか存在するのなら是非見てみたいと思いました。それでもやっぱりギエムの赤毛と肌の白さは、舞台の一部として必須だと思うので、そのときの女性ダンサーは是非髪の毛を赤く染めてほしいし、肌の真っ白な白人であってほしいと、思うのは私の中での矛盾ですな。この二つの点はアクラム カーンがいつも使うセリフや、音楽とミュージシャンや非常にミニマルな舞台設定や、なんとも言えない美しい色とカットのピタっとしたTシャツとスカートパンツなんかにとてもあっていて、そのうえこの演目で使用される真っ白の照明とで、もうたまらなく美しかったです。やっぱりスターってのはそういうのも合わせてスターなんですかね。

ダンスも舞台も音楽もセリフもいつも通り素晴らしかったんですが、すごくすごく素敵だったのが、ギエムがたまにとーーーーーっても楽しそうに、踊りながらニカッと笑うこと。彼女が笑うたんびに、私も客席でニカッて笑ってたと思います。本当にとてもとても楽しそうに踊っていて、こちらもとてもとても楽しくなりました。素晴らしいダンスを見たときは涙が流れたり、ワクワクしたりドキドキしたり、心地の良い緊張感に包まれたり、最高に幸せだと感じたりしますが、こんなに楽しくなったのは初めてでした。それもスターの持つ力かな。


そんなこんなの久しぶりの充実したコンテンポラリーダンス。
これから2ヶ月ほどは出張だらけでチケットを持っているのに行けないコンテンポラリーダンスの公演が5つもあるんです。くやしーなー。でも仕事も大切な吸収の場だし、もうちょっとがんばるか!

クリックお願いいたしますー。


にほんブログ村 美術ブログへ

コンテンポラリーダンス | trackback(0) | comment(2) |


<<2008年3月 備忘録 | TOP | Espace Claude Berri>>

comment











管理人のみ閲覧OK


Akram&Sylvie

私も日曜日に行きます〜。
厳しいKanaちゃんがこんなに評してるから、期待大♪

2008/04/18 04:13 | KAYA [ 編集 ]


KAYAさん、ミクシーのほうにメッセージしといたから、読んでね。
えー、私厳しいかなー。今回は端っこのほうやったけど、オーケストラの前から三列目やったし、二人の顔の表情も見れて楽しかったよー。

2008/04/18 04:33 | kana [ 編集 ]


trackback

trackback_url
http://kanaparis.blog59.fc2.com/tb.php/249-e82bd6f6

| TOP |

UNIQLOCK

プロフィール

Author:kana
パリにある現代美術ギャラリーで下っ端としてハタラク。

京都生まれの京都育ち。2000年5月にフランスはリヨンに来て4年何ヶ月かほど過ごし、2004年9月から現在に至るまでパリに、猫のミントと一緒に生きています。

こんなものも書き始めました。
「パリ現代アートギャラリー攻略ブログ」
http://kana-sunayama.iza.ne.jp/blog/
こっちでも書いてます。
SHIFT
http://www.shift.jp.org/

2007年春に、フランス人の友人&ブラジル人の友人と共に、キュレーター団体をNPO法人としてパリで立ち上げました。
現在は、記念すべき一つ目の展覧会に向けて忙しくしています。
そんなわけでとにかく少しでも多くのアーティストさんたちとの交流を求めています。
「こんな面白いアーティストを知っているよ。」という人は立候補でも推薦でも、気軽にコンタクトください。
(と書いたら、早速たくさんのメールを頂くようになりました。ひとりひとりにお返事ができない状況です。返事がなくても落ち込まないでください、、、。)

やる気が出るのでクリックください。
よろしく!


にほんブログ村 美術ブログへ

Calender

FC2カウンター

カテゴリー

最近の記事+コメント

最近のコメント

最近のトラックバック

リンク

Amazon.jp

月別アーカイブ

ブログ内検索

RSSフィード

Powered By FC2ブログ

Powered By FC2ブログ
ブログやるならFC2ブログ

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文: