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森川 穣 「彼の地」
カーナビの女性の声に導かれてたどり着くと、そこには左官屋の事務所のような、小さな街の公民館のような建物があった。「本当にここなのかな?」と少し不安を感じながら扉をくぐると、きっとこの場所がアーティストスタジオとなる以前から使用されているに違いない、キッチュな柄のスリッパがいくつか鎮座していた。靴を脱ぎ、スリッパのひとつに足を入れて、「こんにちはー!」と勢いよく投げかけてみる。
何よりもまずは作品を見なくちゃ、と私はインスタレーションの作品の中に体を潜らせた。

お茶席の躙口をくぐるときのように、はたまた子供の頃どきどきしながら近所の空家に体を小さくさせてこっそり忍び込んだときのように、体を低くして入っていく。
そんな体感するデジャヴは、私の心にも同じように作用する。お茶席の躙口を通るときの、ここからは日常とは別の空間であり、別の世界観が広がっている、という神妙な思いと、空家に忍びこむときの、一体何が待っているんだろう、というワクワクした思い。
ほんの少し進むと上方向に広がる、人が一人立っていられる空間。そこで立ち上がると相変わらず白い壁と床、天井に包まれているのだが、目線より少し高い位置に数センチの切れ込みを見つけた。

私は背伸びをし、その四方に延びる切れ込みを覗き込む。焦点があまり定まらない目で捉えられたものは、まるで火星の表面のような岩石や土の固まりがころがる広大な風景だった。

この作品の作家である森川 穣さんによると、これらの土や石は、他2名の作家と共に運営しているアトリエ ギャラリーであるStudio 90の縁の下から採取したものらしい。オープン記念展示ということで、何かこの場所でしかできないインスタレーションを創作したかったと言う。

近年「サイトスペシフィック作品」というと、現代美術の展示に一般的に利用される美術館やアートセンター、ギャラリーなどの、ホワイトキューブと呼ばれる空間とは別の場所を利用し、その空間や、光の入り方、また空間の持つ独特の雰囲気に合わせて自身の作品の展示を変更するというのが多く見受けられるが、彼の場合はそのような作品たちとは一線を画す。彼は空間の中にホワイトキューブに限りなく近い白い空間を作り出すが、マテリアル自体が「サイトスペシフィック」なのだ。彼は、そこで毎日寝起きを繰り返したとしても、普段は目に入ってこない床下の土壌を私たちの目線まで引き上げる。

しかしそれらの土壌は、目線の高さにあるからといって、手に触れられるものではない。少し背伸びをして覗き込むという行為とは真逆の動作、縁の下にしゃがんで頭を傾けて覗き込むときと同じように、手に触れられない存在として残されている。それは日本の産土神に代表されるような、自然の中に神の存在があるという信仰にも結びつくのかもしれないが、ここで私が感じ取ったのは、作家 森川 穣が、これから自身の作品を創作していく場としてこの土地を選んだという決意と意欲、この土地に対する多大なる敬意であった。

それはサイトスペシフィック作品によく見られるような、「場所への挑戦」ではなく、美しい謙虚なまでの「場所とのコラボレーション」であった。


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というわけでですね、なんとなく真面目に書きたくなったのでこういう文体になってしまいました。
2008年の夏に日本に帰ったときに、いろんな美術館での展覧会なんかを見ましたが、私の心にすごく印象的に残ったのはこの展示でした。見たときも「こんなええもんが見れたー!」と普通に嬉しかったのですが、月日が立つにつれてどんどんこの作品の奥深いところが見えてきて、存在が大きくなっていった展示でした。
この森川 穣さんのことは、以前から彼のブログで知っていて(っていうかブログなので本名は存じませんでしたが。)、ブログのタイトルと内容から、私のなかでは「アートホリックの人」というニックネームで呼んでいました。
ブログで彼がイギリスでのアート留学を終えて、京都でアトリエ ギャラリー、studio 90を友人の2名のアーティストさんと始めた、そして夏には彼の作品展示があるということで、車の運転がめちゃくちゃやばい私ですが、実家からそんなに遠くないので行ってきました。
以前からファンなのに、ブログのコメントとかあんまり残すのが苦手な私なので、前もって「行きたいんですけど、、、。」とメールを送ったところ、彼のほうも「底辺日記、検索にひっかかったことあります。」ということで、いざ会うとなんだか気さくに話すことができました。
当日は、一緒にこのスペースを運営している泉 洋平さんもいらっしゃって、楽しくおしゃべりできました。っていうか、頭のいい、しっかりとした若い男性二人と話すのが楽しくて、すっかり長居してしまい、多分うざいおばさんだったと思います。
日本の実家にいたときに弟の友達が家に来て一晩中うだうだしゃべったり、パリで弟と一緒に住んでいたときに、弟とその友達たちとうだうだしゃべったりしたことを思い出しました。そんなふうに、いつまででもそのへんに寝転がって雑誌とかぱらぱらめくりながら、「あれってさー、こうやんなー。」なんてたまに思いついたようにしゃべりたいなーと思わせる空間と時間でございました。まあ彼らにとっては邪魔であること極まりないでしょうが。っていうか、仕事場なのでそんなことは許されません。

ちょっと車がない場合はちょっとアクセスが大変でしょうが、面白い場所なので、機会がある方は是非どうぞ!

このブログをいまでも読んでいただいてるか、わかりませんが、
森川さん、どうもありがとうございました。良い時間を過ごせて楽しかったです。
展覧会が終わったようなので、記事を書いてみました。思ったことを素直に書いたので、あまり作品の主旨と違うことがあるかもしれませんが、そのへんは伝える側と受け取る側の違いということで自由にさせてもらいました。
では、お互いがんばりましょうね。また来年の夏にでも会えればいいですねー!


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10/01 04:16 | 展覧会 | CM:2 | TB:0
こんばんは。「アートホリックの人」です笑
先々月は酷暑の中わかりにくい所までお越しいただきありがとうございました。
さらにこんな立派なレビューまで書いて頂き感謝の言葉もありません。
僕の作品はよく「サイトスペシフィック」や「ランドアート」の括りの中で語られることが多くて、正直辟易していたので、kanaさんのレビューはとても励みになりました。
また夏に帰ってこられた際にでもお会いできれば。
そしてもちろんこのブログは巡回サイトのひとつなので、これからもkanaさんの目から見たフランスのアートシーンを共有させてください。
ではではお元気で。

追伸
うちのブログに今回の記事リンク貼らせていただきました。
ご迷惑でしたら仰ってください。
ところでお礼状をお送りさせて頂いたのですが届きましたでしょうか。
あ、アートホリックな人だ!!
リンク大歓迎ですが、だーっと書いた記事だったので慌てて読み返し、少しタイプ間違いなどを訂正しました。なんか再度読むといまいち自分の伝えたいことが突き抜けた言葉で書けてない感じがしますが、失礼なことをしてないとわかるだけで、良かったです。ほっ。
素敵なハガキ届きましたよ。先週くらいやったかな。
私もアート狂な毎日のブログ、楽しみにしてまーす。
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