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Malaise dans les musees : Jean Clair
私自身のための備忘録というかメモとして、これからちゃんと読んだ本やじっくり見て読んだカタログについて、このブログに書き留めていきたいと思います。アートに関するブログなので、もちろんアートに関する本やカタログ限定です。ただのつぶやきみたいなもんなので、ここに書かなくてもいいんですが、ここでつぶやくことによって、いろんな人と何かを分け合えたらいいなあと思います。
実は誰も気づいてないと思いますが、このブログのメニューみたいなとこ(右ね)に、「いま読んでる本」という項目を先週くらいから追加しました。如何せん私はフランスに住んでいるので残念ながら日本の本はなかなか手に入らなく、ここに表示されていく本はフランス語であったり、英語であったりすることが多いと思います。でもこの時代、インターネットで世界中の本が買えますから、どんどん活用したいと思います。

さてさて記念すべき第一冊目は、先週末のパリーストラスブール往復の電車の中で読んだ一冊。

Jean Clair/ジャン クレールの「Malaise dans les musees/美術館での不快感」


ジャン クレール
は有名な学芸員で、ピカソ美術館の館長も務めていました。
彼が企画した展覧会で有名なのは「M�lancolie, G�nie et folie en Occident/メランコリー、西洋における才能と狂気」展です。

フランス語で学芸員は「conservateur」。この単語は「保守的な」という形容詞でもあります。ジャン クレールはまさにダブルでconsevateur consetvateur (保守的な学芸員)。
実際に彼は非常に優秀な美術史家であるし学芸員でもあるのですが、最近では、現代美術とフランスの昔の芸術を混ぜ合わせた展覧会がある度に、反対派のリーダーとしてメディアに引っ張りだこです。そのうえまたこういう展覧会がフランスではどうも流行みたいで、大忙しだろうと思います。だってジェフ クーンズがヴェルサイユ宮殿で個展をしているのも許せないヤン ファーブルがルーブルで個展をするのも許せないんですから。もちろんヤン ファーブルだけではなく、ルーブル美術館オルセー美術館で近年では定期的に企画される現代アーティストの展覧会も許せないだろうし、フォンテーヌブロー城でパレ ド トーキョーが企画した展覧会も許せないんでしょう。

そんなジャン クレールが、ルーブル美術館アブ ダビ計画に反対するに際して書いたこの本。
attachment.jpg

ルーブル アブ ダビに関してはもちろん、ルーブル アブ ダビと同じリゾート埋め立て地に建築予定のグッゲンハイム美術館の世界を股にかけたチェーン店化、はたまた2年ほど前にパリにできたケ ブランリー美術館のオブジェを従来の存在理由から切り離した「芸術作品」としての展示方法、「ダヴィンチコード」の映画撮影を多額のお金と引き換えに許可したルーブル美術館、そんな低文化のハリウッド映画の宣伝に多大に加担し、映画上映中は美術館内の至るところに「ダヴィンチコードの謎を解く!」なんてフィクションの馬鹿げた小説ブームに低俗に便乗した我らがルーブル、なんかとにかくそういうことに対して嘆く、文句を言う、「我らがフランスはそんな低レベルの国ではなかったのに!」という叫び満載の本です。

私はルーブル アブ ダビ計画に対して反対というわけではないですが、良い感情を持っていません。でも反対派のジャン クレールの主張には納得が全くできないし、私とは正反対の観点で物事を見ている人なので、逆に彼の本を読むのが好きなのです。
そして彼はなんといっても、「でっったーーーーーーー!差別主義者!」とページをめくるたびに叫んでしまうほどのレイシスト。あまりにもあからさまで、いっつもげらげら笑ってしまいます。著名な美術史家に、こんなことを底辺の私が言うのは非常に釣り合ってないんですが、彼の論点はあまりにも理想主義すぎるというか、時代遅れというか、まあいわゆる「おまえら、俺みたいなエリートじゃないんやから、絵なんか見るな。どうせわからんやろ。」ということを遠回しに、でも結構はっきりと言っちゃう、そういう点ではかなりレベルの低い人だと思います。いや、彼は素晴らしい美術史家だと私も思いますけど、ほら、「この人すごいなー。頭いーなー。」と認めてはいるんやけど、思想についての話になると「あんたまだそんなこと言ってんの!?」って会話にならへんみたいな人って普通にいるでしょ。そんな感じ。(読み返して自分のえらそうっぷりにたじたじしてしまった。でもいいか、ブログだし。)

電車の中で読んでいて、あまりにも私が本を読みながら一人でぶつぶつ言ってるので、配偶者がたまに「いま差別レベルどれくらい?どれくらいあがってきた?」なんて冗談で聞いてきて、いくつか「これは!」というところを読み聞かせて、二人で「でたーーーー!レイシスト!っていうかいまからレイシスト多めの地方(ストラスブール)行くからちょうど良いな!」としっかり楽しめました。

例えばね、
ルーブルやフランスの地方ボザール美術館にある作品は、世界一大きく古いコレクションを誇り、それはフランスの王制から生まれ、フランスの歴史の中で豊かにされ、革命の間も保管され、芸術品破壊の蛮行からも守られ、国民皆に開かれ、フランス共和制の努力によって維持拡大されてきた。

まあそういうことなんで、アラブ首長国連邦のアブダビの人になんか、俺らの芸術はわからないんだよー。という主張なわけです。

あっれーーーー?でもフランスが外国で略奪してきた芸術品もルーブルのコレクションの、重要作品の大多数ですけど、それには触れないんすかーー??えらいうまいこときれいにまとめたけど、なんかめっちゃ抜けてる部分あることない?あなたのフランス美術史?みたいな。

ほんでそのうち、フランスが外国で略奪してきたのは外国に芸術品を置いとくとちゃんと管理するかわからへんから、亡命させてきたのであって、フランスにあるおかげでこれらの外国の芸術品は安全だ、みたいなことになっていく。

はあ?

あと彼は美術館に来る観光客が嫌いです。っていうか多分観光客じゃなくても、美術館に来る人みんな嫌いなんやと思う。自分以外の人が来るとどうもむかつくみたい。マドリードのソフィア美術館とかロンドンのテートモダンとかも嫌らしい。

私は「ルーブル」がアブダビに建つことにどちらかといえば賛成でしたが、この本を読んでジャン クレールの主張とは全くかけ離れた点で、反対意見になりました。彼は「フランスの栄光」を守るために反対なわけですけど、私はアブダビの文化レベルを本当の意味であげるために反対です。この埋め立て地はリゾート地です。砂漠の真ん中に、もういくつかわからんくらいの星付きのホテルが何十件も建って、ゴルフ場があって、ビーチがいくつもあって、高級ブティックだらけのショッピングセンターがあって、そして「ルーブル」があって、グッゲンハイムがある。グッゲンハイムはそれでいいのかもしれません。だってセンセーショナルな建築物を建てて、そこで展覧会をするのが、もういまではグッゲンハイムマークだから。でもルーブルは二つあっていいもんじゃないと思います。それはフランスのためではありません。アラブ首長国連邦の文化のため。彼らの国にある世界に誇れる美術館が、自分たちの文化とはかけはなれたフランスの美術館であることに、恥ずかしいと思わないんでしょうか。日本一の美術館がたとえば「オルセー美術館トーキョー」なんかうれしくない。何の意味もない。そしてそれらのレンタルしてくる芸術品は、フランスで製造された戦闘機を買うということと引き換えです。そのうえなぜ「ルーブル」という名前まで売り渡すんでしょうか。日本でよく見る○○美術館コレクション展というものではなく、その建物は「ルーブル」という名前なのです。

それでいいの?お金があるからなんでも買えるし、石油持ってるからどの国も言いなりやけど、この計画によって国の本当のレベルがわかってしまうと思う。世界有数の金持ちだけのために建設される人工の埋め立てリゾートで、泳げてスキーもゴルフもできて、キンキラキンのホテルで寝泊まりして、「ルーブル」見て、グッゲンハイム アブ ダビ店見て、それで「アブダビは世界の文化の中心だ!」って誰が思うでしょう。

ケ ブランリー美術館の在り方に関しては、私も同じことを思っていたので「うんうん。」とうなずく点もありましたが、やっぱりなんか差別してる感がぬぐえず、「それ言い過ぎ。」とか「それはちょっとおなしな展開やろ。」とつっこんでしまったことも否めません。

あと8月の日本一時帰国のあと、日本には美しい美術館という名の外見にだけお金のかかった空っぽの箱がいっぱいできている、と書きましたが、その空っぽ度はフランスのほうが全然マシとは言え、フランスにも同じような空に近い美しい箱がたくさんできています。そのことについても少し言及(といっても、彼のことなので容赦なく文句)してあって楽しめました。

ためになるならないの話ではなく、こんな意見の人もいるんやのー、というゆるい感じで読めます。自分の意見が流されるようなことは、書いてあることがあまりにも極端すぎるので皆無です。そのへんの心配は要りません。というか、外国人の私からしたら「どんだけえらいねん、フランス人!引き算できひんくせに。」という目線で読んでしまいます。

でもそんなジャン クレールの本、私結構好きなんです。だって、頑固で時代遅れやけどめちゃくちゃインテリでエリートでいろんなことしてきたすごいオヤジの書いてることやから。


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伝説的!メランコリー展のカタログ。
 

以前から読みたいと思っていたけど、まだ読めてないジャン クレールの本。


2年前のマドリード旅行のお供だったピカソに関するジャン クレールの本。マドリードにはゲルニカ目当てに行ったということもあって、ピカソに浸りたかったのです。そのわりにはあんまりこの本に関する記憶がない。読み直さないとなー。


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11/18 03:18 | 本 カタログ | CM:6 | TB:0
>引き算できひんくせに
めちゃ笑ろたー!!!
割り算もけったいな方法なん知ってる???

ちなみに、今の美術館の役割ってどうなってるんやろなぁ。もうやっぱりビジネスビジネスって感じなんかな。まあ美術館って基本的に、ケー・ブランリーに限らず、作品を「従来の存在理由から切り離し」てるもんやん。もともとの美術館の存在理由である「保存」のためにはしょうがないんやろうけどさー。
って書きながら、意味不明になってきたわ・・・。
Kayaさん、あ、やっぱそれ言ったらあかんかった?ちょっとむかついたらすぐ言ってしまうんよねー。なんやさあんたら。みたいな。ほんでこっちがささっと暗算して数字を言っても信じずに携帯で計算するやろ。それもめっちゃ時間かかってるし、みたいな。ほんで「かな、すごーい。合ってた。」とか言うの。割り算は計算機でもできてへん人見たことあるよ。パーセンテージとか出せへんの。

美術館に関しては、この本を書いた人は普通なら教会にあるものを美術館に持ってくるってのも微妙やと思ってるみたい。でもあのケ ブランリーの高級ブティック(言葉が古いかも)のショウウインドウみたいな展示は私も最初見たときひいたな。ビジネスと呼ぶんやろうけど、やっぱり観客動員数とかかなり重視されるはず。映画じゃないけど。
はじめまして。
いつも・・・とは言えませんが、時々拝見して楽しませて頂いています。

ルーブルアブダビ計画、いろいろな意見を聞いてきたけれど、こういう視点からの反対意見は
初めてです。そして、なるほど、と思いました。

それにしても、大英博物館もそうですが、侵略してきた品々に対し、
「うちで保管してやってる」っていうあの思い上がりは何なんでしょうね。。。
開き直りっぷりに脱帽です。

しかし、お城はともかく、ルーブルに現代美術を展示する意味って私はよく分からないんですが。。。

さて、計算、みんなできませんよね。
以前行っていた美術学校で私の観察したところでは、フランス人の他にも
ドイツ人、イタリア人、アメリカ人、ブラジル人もダメでした。
特にパーセントは、やり方や概念さえ分からないみたいですよね。何度教えても
理解できないらしく、学校割引がある備品の注文をするたびに、私が計算式を
教えてあげる羽目になりました。(先生のぶんまで)


dauphineさん、はじめまして。
あれ、初めて聞きましたか?ルーブル アブダビに反対している人たちの代表がジャン クレールですから、これが反対主流意見ですよー。でもやっぱり彼の言ってることは行き過ぎな部分もあるから、反対派と賛成派の間でうろちょろする私みたいな人がいっぱいいるんでしょう。
日本人は暗算に重きを置く算数の授業ですし、日本の算数教育ってほんまに日常生活に役に立つなーと感心します。っていうか、外国人たちは算数の授業で何を習ってるんでしょうね??素朴に不思議です。だって暗算で足し算もできないんやもん。
これからもお願いします。
お返事ありがとうございました。

アブダビ反対意見の件、舌足らずだったかも知れませんが、ジャン・クレールの意見ではなくて
(その意見はもっと薄めた形でいろいろ聞きました)、
Kanaさんの意見のことを指したつもりでした。
「ルーブルブランドをそっくり引っ張ってきて喜んじゃって、アブダビそれでいいの?」
というほうです。

確かに日本の最高の美術館が「オルセー・トーキョー」だったら、どんなにコレクションがすごくても所詮「借り物の文化」でしかないわけですものね。

算数、全くですよねー。
アメリカに関しては算数や地理の時間を削って民主主義教を教え込んでそうですが、
他の国はなんで算数ダメなんでしょうね。。。
フランスはバカンスが多いから授業時間が足りないとか。。。?
(そういえば友人の子供の宿題を見たら、13歳で「平行」とか習って四苦八苦してました。日本は10歳くらいでたたき込まれますよね、よくも悪くも)

まっ、でも、ずっと「算数オチこぼれ」で「手先が不器用」だった私が国を変わるだけで「計算の天才」で「手先がものすごく器用」になれるのですから気持ちよくもありました(笑)。
dauphineさん、こんにちは。
あ、そうでしたか。私の勘違いでした。

ーずっと「算数オチこぼれ」で「手先が不器用」だった私が国を変わるだけで「計算の天才」で「手先がものすごく器用」になれるのですから

これすごいわかります!!計画的でない私がこんなに計画的になれるとは!って感じです。
計算の話またしますけど、例えばレストランでのお会計のとき、ぱっぱっと暗算で人数分わって「ひとりいくらね。」と言ってるのに、それから5分くらいかかってそこにいる一人一人が自分たちの携帯で割り算して、やっと終わったら「ほんまやー。カナの言う通りやったー。」っていうの、あれやめてほしいです。人の言うこと信じない、自分ができないもんやから、人ができるってことを信じないの。で、たまに自分が計算するの邪魔臭いとき(たとえ携帯の計算器ででも邪魔臭いとき)は勿体ぶって「カナの言うこと信じるよ!」とか言うの、あれほんまやめてほしいです。計算してるその時間でお会計すでに済ませてられたんやけど!って思う。

なんか計算の話のほうが盛り上げってしまいましたねー。
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