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La vie possible de Christian Boltanski / クリスチャン・ボルタンスキーの可能な人生
私はすぐに目移りがしてしまうタイプの人間な上に、本の大きさといったら多種多様なもんだから、一時に一冊だけの本を読んでいるということができないんです。
だから大小様々な本を3、4冊ほど平行して読むことが多い。
家でゆっくりしてるときに読むでっかい本。旅行なんかの長い移動時間中に読む中くらいの本。夜寝る前に読む一章ごとが短い本。メトロなんかの短い移動時間中やフランスでは避けて通れない列を作ってる間に読む文庫本。などなど。あと、以前に読んだ本を急にまた読みたくなってドワーーッと読み返すこともしばしば。最近ではカトリーヌ ミエの「L'Art contemporain : Histoire et géographie」や、ダニエル アラスの「On n'y voit rien : Descriptions」と「Histoires de peintures」を学生の頃に戻ったように読み返していました。ここ2ヶ月ほどばりばりの現代アートの展覧会だけじゃなくて、近現代絵画の展覧会をいくつか見に行ったということが大きな理由だと思います。前と違って「カトリーヌ ミエの書いてることってこんなんやったっけ?」と少しえらそうに思ったり、はたまた「やっぱりダニエル アラスはえーなー。何回読んでも新しい発見があるわ。」と感心したり。芸術作品と同じで、自分の知識や経験と相まって、読むときによって自分の思いが変化するのも楽しいところ。
アラスのはどちらも日本語バージョンが出ていました。
なにも見ていない―名画をめぐる六つの冒険
モナリザの秘密―絵画をめぐる25章

こんなことを言っても最近本腰入れて読んでいたのは、カトリーヌ グルニエがクリスチャン ボルタンスキーに週に一回会いに行ってはインタビューして一冊にまとめた、「La vie possible de Christian Boltanski」。まあ、口語で書かれたインタビュー本なので、本腰入れなくても、読み物として楽しんで読めます。題名は日本語に訳すと「クリスチャン・ボルタンスキーの可能な人生」。

日本語での翻訳がでてないのが残念なところ。去年には日本で講演会を行ったようだし、越後妻有トリエンナーレにも出たことがあるようだし、直島の横の家島プロジェクトも手がけているんだから、訳が出ればある程度売れるんじゃないかなー、と思うけれど、現実はそんな簡単なもんじゃないか。

と書いていたけれど、日本語版が出たようなので、こちらから。
そのうえグランパレでの写真になってる。



さてさて、内容はというと、もちろんボルタンスキーの幼少時代から現在に至るまでのトークでございます。私は最近ボルタンスキーの作品への興味がふつふつ湧いてくるのを感じたのですが、今まで昔の作品を美術館の常設展なんかで見ても、いまいち理解できないというか、美術館の解説だけではなんだか物足りない気持ちが残ったので、この本を手に取ったわけです。最初から最後まで中だるみすることなく面白く読めました。

幼少時代からのキリスト教とユダヤ教に対するボルタンスキー一家のスタンスだとか、パートナーであるアネット メサジェとの私生活での関係と、お互い売れっ子現代アーティストとしての関係だとか、あのシリーズはこんな風にできた的トーク盛りだくさん。
ベルトラン ラヴィエとは今でも大親友で週に一回は一緒に食事をしてて、彼のことは本当にすごいと思ってるけど、自分にはああいうのできない、とか、パリとニューヨークにあったソナべンド ギャラリー(ニューヨークには今でもある)での展覧会や、ダニエル タンプロン ギャラリーがまだサン ジェルマン デ プレの地下にあったときの展示のことなんかも。毎回「あんときも全然作品が売れなくてねー。」って言うのもケチで有名なボルタンスキーっぽい。服はザラで買ってるとか言ったり。小さい頃はお風呂に入ったりシャワーを浴びる習慣がなかったから、いつも汚くて、学校でしょっちゅういじめられたのでずっと学校行ってなかっただとか。アネット メサジェとの初デートではモンパルナスのブラッスリーにがんばって行ったんだけど、それまで父親に「食事のあとは手の指を髪の毛でふけ。髪の健康に良いからな。」って言われていたから、彼女の前でその通りにしたら驚かれた話とか。でも結局僕はすっかりはげてしまったから、あれは父親の嘘だったって言ったり。親戚のパーティーに言ったら、それまで会ったことのない親族のひとりに「あなたがそんなに丸々と太って幸せそなのでうれしいよ!作品を見ている限りでは「どんなに不幸な人なんだろう。」と思っていたからね!」って言われたりとか。
あと何があったかねー。結構前に読み終わったわりにはよく覚えてて書ききれない。
自分の作品についてはもちろんものすごく詳しくシリーズごとに話しているし、同世代の他のアーティストの作品についてとか、最近の若い人たちの作品についてとかも話してたかな。やっぱり彼のアートに強く関わってくる「宗教とボルタンスキー」の関係はすごく面白かったです。

他のインタビュー本に比べてこれが特に面白いと思う理由は、「こういう企画があって、誰々とかが参加してて、僕はこうしてああしてうまくいったよ。」みたいな「あんたの人生いっつもトントン拍子やな!」と読者が思わず卑屈になってしまうような文章ばっかりが並んでいるんではなくて、どちらかというとその真逆。「こう言われたけど僕こうしたら全然やっぱりあかんくてねー。」みたいな会話が多い。まあもちろん現在の彼の名声を考えればちゃんとそれなりに成功していたわけだし、「成功!」と一般的に言われるような結果を収めていなくても、常になんやすんごい歴史に残る展覧会に参加してたり、でかい美術館での個展のオファーがどんどんあったりするわけですから、それだけではないのはわかってます。でもなんか親近感持てるんです。インタビュー記事とかって「世の中そういう単純なことばっかりの積み重ねなんかね。結局は。」って勘違いしてしまう(もちろんみんなものすごい努力をしてるやろうし、才能のある人がインタビューをされるわけですから)ことが、私には多々ありますが、この本はボルタンスキーのちょっとアウトサイダーな感じのひねくれてるっぽい性格とかが出て、もう少し心の複雑な動きが見えるように感じます。あと「あのときのあの作品がほんまにいけてなかったねー。」とか「僕あの人とあのとき喧嘩してそれっきりだよ。」とか「あれは好き」「これは嫌い」っていうのがはっきり書かれてるのが気持ちがいい。「あ、このインタビューに答えてる人は人間だ!」って感じです。人ってそうよね。曖昧なものをいーーっぱい抱えて生きてるもんね。と思いました。

まあなんだか褒めまくりな私も微妙ですが、筆者のカトリーヌ グルニエ(ポンピドゥーセンターの学芸員)は「この本を出版するにあたって私は何もしてません。」って書いてるけど、必要最低限の言葉による、彼女の話の引き出し方とかもうまいと思うし、日本のインタビュー記事とかによくみられるわけのわからない「(笑)」みたいなのも皆無で、本当にボルタンスキーがべちゃくちゃべちゃくちゃと最初から最後まで淡々と話しているっていうのがそのまま出てる本です。カトリーヌ グルニエ曰く、ボルタンスキーはこの本を彼女が書き終えたときも出版するときも、結局一度も読まなかったらしいです。これが序章部分だかに確か書かれていて、本を読み進めている間、今までなんというか噂話や彼に関する記事なんかを読んでいてみんなの頭にできあがっている本当か嘘かわからないぎりぎりのところにある「ボルタンスキー伝説」みたいなものの真実がこれか!と思っていたんやけれども、最後のほうでボルタンスキーが「まあ、こうやって話しているけれども、こういうのは本当にあったことかわからないよね。だって人の記憶ってその場その瞬間にできあがる場合もあるけれども、何年もたったあとで写真を見返して「あーあのときはこうやった。」ってそのときの自分が勝手に妄想で作り出してる場合もあるわけだからね。」というようなことを言っていて、また振り出しに戻っちゃったような、でも不快なものではなくて、逆に「そうよなー。」なんて爽快に納得させられたり。あとそうそう、ボルタンスキーが「「現代アートの展覧会」とわかっていく展覧会ってなんか萎えてしまう。そんなの何も知らなくて、たまたまその場所に入ったらアートがあった。みたいな展覧会してみたいねー。」的なことを言ってたのも強く印象に残っています。

ちなみに今更ですが、ここに書いたことはこの本を読んだ私という読者の記憶の断片であり、今この記事を書くにあたって思い出したことを私の言葉でだだだーっと書いただけなので、まさにこのまま書いてあったというわけではないと思います。
きっとみなさんがこの本を読めば、「そんなん書いてなかったけど?そういう風には書いてなかったけど?」なんてことが出てくるかと思いますが、そのへんは勘弁してください。

っていうか、Shiftに寄稿した記事もそうだけど、私すんごいボルタンスキーファンみたいかな。別に違いますけど。

ちなみに「この本ぜんぜん面白くないな。」って言ってる人いっぱいいます。私が「好きだったよー。なぜなら、、、、、」って話しだすと「あの本面白かったって言った人ni初めて会った!」とか言われたりもしたくらい。


アニエス ヴァルダの最新映画「les plages d'Agnes」もそうだし、今家で読んでるクロード ベリが伝説的ギャラリストであるレオ カステリをインタビューした「Claude Berri rencontre Léo Castelli」もそうですが、同時代に生きている(または生きた)けど、自分よりは少し以前の世代の、才能のある著名人たちのが語ってることって、面白いし興味津々です。だって彼らは歴史を作っているわけだからね。


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日本語での彼に関する本はこれだけかな。


ここで紹介した本は、ボルタンスキー初の個展「La vie impossible de Christian Boltanski/クリスチャン ボルタンスキーのあり得ない人生」を文字ったもの。そのときのカタログがこちら。


ファイドンから出版のボルタンスキー カタログ。


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01/30 01:48 | 本 カタログ | CM:10 | TB:0
初心者ですみません、今度パリに旅行に行くのですが、パリの現代アートの中心になっているような地域はあるのですか?
観光地より、そちらのほうに興味があって見てみたいと思っているのですが、どうやって調べたらよいのか分からなくて・・・やはり東京のように、ギャラリーは、あちこちに点在していると考えてよいのでしょうか。
実は僕は、趣味でプロダクトデザインを作ってるのですが、作品ファイルなどを、見てくれるようなところは、あるのでしょうか?僕がフランス語まったくできないので、たとえできたとしても会話が成立しないと思うのですが。

もちろん、無理だと思っています。ただ聞かぬは一生の恥だとおもって。^^;

すみません。汗
しんやさん、はじめまして。
何事に関しても、初心者であるのは別に悪いことでもなんでもないので、謝る必要はありません。パリのギャラリーはもちろん点在していますが、現代アートなら、マレ地区に行くのが手っ取り早いと思います。このブログでもギャラリーマップやギャラリーでの展覧会を紹介しているので、見てみてください。
作品ファイルを見てくれるところはあると思います。タイミングや状況にもよると思いますが。語学は簡単な英語で十分です。フランス語ができなかったから、というような理由でちゃんと見てもらえないということはアートやデザインの世界ではないと思います。
それと、「もちろん、無理だと思っています。」と書かれていますが、そんな気持ちで作品ファイルを見せるのは相手に対しても失礼だと思います。相手は自分の時間をさいて、それを見るわけですから。見せるならちゃんと自信を持ってみせるべきだと思います。
そして謝られる必要は全くないですよ。
ではがんばってくださいね。
お返事いただいて、ありがとうございます。^^
マレ地区いろいろ、調べてみます。

小心者なので、あのような書き方になっちゃたんだと思います。^^

パリの「Galerie kreo」がインテリアなどをのデザインを扱っているのですが、メジャーなデザイナーを扱う所では、ここが一番最先端だと思います。
実はここに、「見てもらえますか?」とメールしてみましたが、(ネットで翻訳して、フリーメールから送信したからかな)返事は、きませんでした。笑

だから、たぶん敷居が高いのだろうなあと、思いました。

オーナーの名前も顔も知らない所に、アポなしで、初めて訪れるなんて、なんて無謀なんだろうなと思いつつも、こっちもそれなりに、力入れて作ったファイルだから、なんでもいいから、感想でももらえたらいいなと思いました。(感想もらった人は、全然そのギャラリーとは関係のない人だったら笑えますね。)

もうちょっと、ちゃんと作戦練らないとダメかなと、思いました。

またまた実は、なんですけど、2月6日~10日までにパリに行く予定なんです。あぁ 時間足りないなと、思いつつも、テンパリながら書いてみました。^^

kanaさんこんばんは。
以前に書き込みしましたこいずみです。

ボルタンスキー、とてもいいですね。
この前書き込みした通り、正月にパリ滞在したのですが、パリで一番印象に残ったのがボルタンスキーの作品でした。
物の気配そのものが作品になっているような。

余談ですけど、市立現代美術館の地下で見たのですが、地下への入り口がとてもわかりにくくて一回見過ごしそうになってしまって危ない危ないという感じでした。


マレ地区といえば、ちょうど最終日にマレ地区の多くのギャラリーでベルニサージュがあって、一通りみることができました。残念ながらあまり気になる作品には出会えなかったんですけど、ギャラリーめぐりをしているパリジャンの姿がとても印象に残っています。土曜の夜に友達や家族と会話を弾ませながら、ギャラリー巡りなんてとてもいいですよね。





しんやさん、こんにちは。
私の働いているギャラリーでも、毎日世界中のアーティストから何通もの売り込みメールが送られてきます。メールだけではなく、毎日のようにポートフォリオが郵送されてきますし、アポを取りたいという電話はもちろん、急に訪ねて来るアーティストも毎日います。
残念な話ですが、それらひとつひとつに目を通している暇はありません。ギャラリー クレオがどのように作品とアーティストを扱っているのか詳しくは知りませんが、有名ギャラリーですので、うちよりももっといろんなポートフォリオが世界中から何十通も送られてくるんでしょう。
何度も書かれていますが、言葉の問題や作戦の問題ではありません。そんなことは本当にどうでもいいことです。
よいものを作って親でも友達でも知人でも見知らぬ人でも有名人でもみんなに見せることが大切だと思います。
がんばってください。


こいずみさん、こんにちは。
「物の気配そのものが作品になっているような。」って素敵ですね。うまいこといわはります。いつか使わせてもらいます。
最終日がうまくヴェルニサージュと重なったんですか。ラッキーでしたねー。もしかしたらウチのギャラリーにも寄らはったかもしれませんね。ま、私はその日いなかったんですけど。プレ ヴェルニサージュの晩餐会で疲れきってしまい、「もうコレクターとはしゃべりたくなーい。」となってたので、勝手に「今日ヴェルニサージュ行きません。」と休んでました。
アニエス・ヴァルダの映画、よかったよねー!すごく好き。ラブと見に行ったよ・・・。
じゅんこちゃん、5月には予定どうり帰って来れそうかい?
あの映画ほんとに良かったねー。「絶対見に行ったほうがいい!」と周りに宣伝しまくってるよ。みんな「めっちゃ良かったー!」って幸せになって帰れるのがいいね。
こんにちは。はじめまして。
「Christian Boltanski」で検索してこちらへたどり着きました。
先日グランパレのインスタレーションを見、討論会も聴講してきました。作品はもちろん彼の人柄にすっかり魅せられてしまい、こうして情報を収集している次第です。
kanaさんの紹介されている本、ボルタンスキーの人的魅力満載ですね!ぜひ購入したいと思います。
私はフランス在住4年目ですがフランス語力はまだまだ怪しく、討論会も詳細までは理解することができず悔しい思いをしておりました。文章だったら読み返しもできるし、とても嬉しい発見です。ありがとうございます。
belle de jourさん、こんにちは。返事が遅くなりました。
ボルタンスキーの本ですが、インタビューなのでもちろん口語体で書かれているし、わかりやすいと思いますよ。彼は感じいいけど、本当に知ったらきっと偏屈オヤジなんやろうなあと思います。これからもよろしくお願いします。
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