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エゴン・シーレのひまわり


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4月の終わり、1914年にオーストリア人画家エゴン・シーレによってヴァンサン・ヴァン・ゴッホの「ひまわり」へのオマージュとして描かれた「Sonnenblumen」(ひまわり)が、60年の時を経てフランス国内で再発見されました。

今回はひとつの芸術作品からたどる人間の歴史のちょっと感動話。

シーレのひまわり。
20060515080008.jpg


そしてかの有名なヴァン・ゴッホのひまわり。
Van20Gogh20tournesols.jpg




ことの始まりは去年2005年の秋。
アートオークションで有名なChristie's Franceの印象派&モダンアートセクションのディレクターであるThomas Seydouxのもとに、地方の弁護士から「鑑定を必要とするシーレの重要な作品を所持するクライアントがいる。」という一本の連絡が入ります。このような連絡は毎日のように届けられるもので、その大半が芸術作品のコピーであったり贋作であったりするのです。

しかし3週間後、上記の弁護士との電話のやり取りで、Seydoux氏は作品の詳細をたずねます。
そしてそのまた3週間後、Seydoux氏と、ドイツのクリスティーズに籍を置き、ドイツ・オーストリア美術のエキスパートであるAndreas Rumber氏のもとに、作品のデジタル画像が送られてきました。
その画像がパソコンの画面に現れた瞬間、彼らふたりは「黒いひまわり」と呼ばれ、ゴッホの素晴らしい「ひまわり」とは逆の、アヴァンギャルドの美しさに息を呑むのです。

このSeydoux氏。今までにも、
Caillbotte(カイユボット)の「Chemin montant(坂道)」や
20060515232923.jpg


Brancusi(ブランクーシ)の「L'Oiseau dans l'espace」
brancusi.jpg


などの作品を見つけ出した人物として名を馳せていました。

カタログレゾネ(Catalogue raisonneとは作品総目録のことで、個々の美術家の全作品を時代順、主題別などに分類整理したものや、美術館収蔵の全作品を技法別・流派別などに分類した目録のことです。)による検索のあと、この「ひまわり」は1914年にシーレによって描かれたものと酷似することがわかりました。

この「ひまわり」は、最初にブリュッセル・トリエンナーレ・サロンで展示され、Xavier Gmur夫人によって購入されました。しかし、第1次世界大戦による障害により、予定されていた3000フランの支払いが妨げられてしまったのです。

そこでこの作品は、ウィーンに住んでいたシーレのもとに送り返され、Richard Lanyiという美術収集家に再交渉されます。結局戦争終結後、Gmur一家がこの作品を取り返し、美術収集家であり画商であったKarl Grunwald氏に売られていきます。

ヒットラーが1938年にオーストリアを併合すると、ユダヤ人下士官であったGrunwald氏はオーストリア皇帝のために戦い、まだ若く天才的な才能のあるシーレを戦線に送らないための活動をします。

この第2次世界大戦によって、Grunwald氏の孫娘であるFrancine Grunwaldはフランスにひとりで逃亡し、長男であるFrans Grunwaldはベルリンとスカンジナビアなどを通って、フランス自由軍にかくまわれるまで逃亡生活を送ります。当のKarl Grunwald氏はパリ、そしてアメリカへと亡命。この亡命の前に、彼は彼の当時所持していた芸術作品のなかでも最も美しい50点をトラックの中に積み込み、フランス東部にある運送業者の倉庫に保管します。しかし1942年、そのトラックはナチスによって発見されてしまい、これらの作品はせり売りにかけられてしまうのです。Karlの妻であったStephanie Grunwaldと娘のLenaは、ナチスの手から逃げ遅れたためアウシュビッツで死亡。



さてSeydoux氏の発見に戻りましょう。
Seydoux氏とRumber氏はやっとの思いで、作品を所持する人物が住む、フランスの僻地にある小さなアパートの居間で、シーレの「ひまわり」とと出会いました。
所有者のある友人が、一度グランパレで展示されているのを観て、それと酷似しているという話から始まったこの再発見。「本物」であるということを知ったのもつかの間、ナチスによる略奪の結果であるということで法律により、作品は元の所有者に返還されることとなりました。

Karl Grunwaldは戦争のあと、死亡する1964年までナチによって略奪されチリヂリになった彼のコレクションを見つけようとしました。彼の子孫たちが現在までに見つけ出したKarl Grunwaldのコレクションはたったの3つ。
一つ目は
ギュスターブ・クリムトの「L'Accomplissement」(ストラスブール近現代美術館蔵)と
KlimtAccomplissement.jpg


エゴン・シーレの「Portrait de Karl Grunwald」(豊田市立美術館蔵)
44s.jpg


のふたつと、そして今回のシーレの「ひまわり」です。


Seydoux氏談。「この大きく暗い油絵に描かれているひまわりは、刈り取られてもいないのに、青と紫とオークルと茶で表現されており、また病的なほど官能的で、蜘蛛のようである。これはエゴン・シーレの自画像とでも言えるのではないだろうか。」


さてこの作品のゆくえは?

6月20日、ロンドンのクリスティーズで競売にかけられるそうです。
予想価格は400万~600万ポンド。

目が飛び出ますね。

っていうか、早速売っちゃうんだ。ふ~ん。でも税金とかバカにならないだろうし、所持してられないのかな。なんだか残念。

とにかくこの作品がどこかの美術館が買い取ることを、私は祈ります。
そしたらいつか本物にお目にかかれるかもしれないし。
個人のコレクターが購入したらイヤだな~。

誰か買いませんか?





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05/17 00:40 | アート界関連ニュース | CM:8 | TB:1
シーレのひまわりいいですね。とてもシーレらしい、神経質そうなひまわり。
またまたrecord price で落札されるのだろうな。美術館はそんな予算ないからたぶん個人でしょう。でもアメリカの場合、税金対策で美術館に寄付もあり得るから、どうでしょうね。
以前の日本だったら絶対製紙の斉藤さんあたりが落としていたかも。
エゴン・シーレのひまわり、何とも言えない独特な雰囲気を醸し出した作品ですね。本当に誰が落札するんでしょう。美術館であることを祈ります。。。

アートの世界にもSeydoux氏のように数々のコピーや贋作の中から画家達の本物の作品を発見する方もいらっしゃるんですね。うーんそれで当然なんでしょうけど、すごいなぁと思ってしまいます。
私も個人コレクター購入予想に一票ですね。
でもとてもいい絵なので、公開されることを望みますが。

むむーーーー。

クリムトの時代に物凄く関心のある自分にとっては非常に興味深い内容でした。ギャラリーフェイクもびっくりですね。まず、シーレにこんな作品(ゴッホへのオマージュ)があったことが驚きです。
Jamarteさん、こんにちは。
いいですよね~。こんな作品が(たとえシーレの本物だと知らなくても)居間にかざってあったなんてステキ。その所有者たちも見る目のある人たちだったんでしょうね。
落札はどちらにしてもアメリカのほうへ行きそうですね。

Manoさん、こんにちは。
誰が落札するんでしょうね~。私はモダンアートの分野のコレクターをあまり知らないのでなんとも言えませんが、、、。でもいつか実際に見てみたい作品のひとつです。

kinoさん、こんにちは。
そうですね。まあいつか公開はされるでしょう。でもいつ?どこの国で?そうやって旅行するのもひとつの楽しみですけどね。常設されるようになればいいんですけどね。まあそれはちょっとムリかなあ。個人が買っちゃった場合。

takahitoさん、こんにちは。
ゴッホは1889年に愛する(!)ゴーギャンが待ちに待ったアルルに到着したことを記念して「ひまわり」を描いたんですよね。ゴホの「ひまわり」が彼の自画像のようであるように、シーレの「ひまわり」もシーレ自身を表している。Seydoux氏によると、クリムト、ノルデ、シュミットーロットルフ、ペシュスタイン、キルヒナーなんかも、「ひまわり」を描いているそうですよ。当時の流行の主題だったんでしょうね。今の日本でいう「萌え」ってやつ?

クリムトの植物も言いようの無い独特のオーラを発していますねぇ。でも、個別に花の名前で意識していなかったですよ。ふむふむ。

「萌え」ですか?確かにその通りだと思いますし、「萌え」た絵は素敵ですね(笑)。
素敵すぎ、ですね。この絵。
個人的に、シーレ、好きなのですけど、そのシーレの中でもかなり心うたれる作品かもしれない。
確かに、一度本物をこの目で見てみたいですね。パリでオークションだったら見に行けたのに、残念・・。
とても悲しいお話。もとの持ち主のユダヤ人ファミリーのお話。
今になって絵を奪われた方の持ち主もかわいそうですね。その人は、シーレの作品と知らなくても、気に入っていたから、居間に飾っていたんだろうし。
それにしても、kanaさんお詳しいですね。
プロフィールでは、パリのギャラリーで働く、とありましたが、どのあたりのギャラリーなんでしょう?差し支えなければ教えて下さい。
私は、パリに住んでいるのでぶらぶらっと散歩がてら探してみようかな。
les arbresさん、はじめまして。
私の働くギャラリーはポンピドゥーセンターのすぐ近くにありますよー。名前を出すのは避けますが、どっちみちこのブログ内の情報でどうせバレバレです。
いつか是非来てください。お茶でもしましょう!
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