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Mircea Cantor/ミルチャ・カントル 「More Cheeks Than Slaps」展
13区の中華街から南に行ったIvry sur seine市にある現代アートセンター、le Credacは、パリ郊外にいくつかある現代美術を見せるアートセンターのなかでも、ディレクターClaire Le Restifの敏腕が光る突出した場所。
去年まではメトロのMairie d'Ivry駅から徒歩2分ほどにある建物の地下に結構広い展示空間を持っていたのですが、2011年秋からla manufacture des oeilletsと呼ばれる元ボタン穴工場だった建物に移転しました。2009年にIvry sur seine市よって買い上げられた同建物にはCentre dramatique national du Val-de-Marne/ヴァルドマルヌ国立演劇センターとThéâtre des Quartiers d’Ivry/イヴリー劇場も入っています。

そんな今後が期待されるle Credacの移転後最初の展覧会は、1977年生まれのルーマニア人アーティスト、Mircea Cantor/ミルチャ・カントルの個展。2011年の横浜トリエンナーレにも出展していたらしいので、ご存知の方も多いかもしれません。

パリでは、若いのに老舗の有名現代美術ギャラリーYvon Lambertの取り扱い作家なので、ギャラリーでの個展をはじめ、パリのトリエンナーレla force de l'art 2009にも参加していたし、彼の作品を目にすることはよくあります。

展覧会はもう終わってしまったけど、新しい空間とうまくコラボできてる展示だったなあとふと思い出し、ここに書く事にしました。


さあ新しいle Credacに到着!原チャリで行ったのでメトロの駅からどれくらいかかるのかいまいちわかりませんが、徒歩で充分行ける距離だと思います。前にメトロあがったとこの建物にあったときよりは遠くなったけど、わがままは言わない言わない。
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ここの4階。身体障害者以外は階段で、と書いてあるのでがんばって登りましょう。


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さて4階に着いてすぐ、受付の左側のスペースがこちら。
パッと見には飛行機の作品だけに見えますが、ここには3点展示されてました。
まずは真ん中のFishing Fly。使い古された石油缶を組み合わせて作られた戦闘機の形をした作品。機体胴部には大きな金色の釣り針がくっついています。
なんかよくわからんけど、このインスタレーションが良かった。パリのような歴史的な建物が並んでいるのではなく、決して美しいとは言えない開発途中のイヴリーの街が見渡せるガラス張りの窓が大きくとられた空間に、まるで空から不時着してきたかのように見えるおもちゃのようだけどなんだかすごくかっこいい戦闘機。うまいなあ。

そしてこのスペースの壁に、小さなコラージュ作品Fishing Fliesも展示されています。これはアーティスト自身が小さい頃に集めていたチューインガムを買うとついてくる飛行機のシール。戦闘機なんかの子供向けにしてはアグレッシブなシール69枚には、Fishing Fly同様、釣り針の形に切り取られた金箔が胴体部分に貼ってあります。

そしてもう一点、このアートセンターに入ると聞こえてくる子供の声「アーイ ディッサーイドゥ ナットゥー セイヴ ザ ワール!」地べたに置かれたビデオ作品I Decided not to save the world。最初は子供が叫んでるだけで、何を言ってるのかよく聞き取れないこのセリフ、非常に短い間隔でループされるビデオなので、そのうちいやがおうにも「僕は世界を救わないをことに決めたよ!」ってたどたどしく、でも大声で宣言してるのがわかってきます。で、それがわかった瞬間になんとも言えない気持ちになるんですよね。

受付をはさんで右側は、飛行機の展示ルームに比べると少し小さめの空間が二つ。
最初の空間には大きなガラスに虹が描かれた作品、Rainbows。なんてことないんだけど私が「わー、いい!」となった作品。
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近寄ってみると、虹は一点ずつはんこのように押された親指の指紋でできあがっていて、虹ではなくて、七色の弧を描く有刺鉄線であることがわかります。このへんがいかにもミルチャ・カントルですねえ。

次の部屋に行く入り口には展覧会タイトルのMore Cheeks Than Slapsと書かれたネオンが、正面に設置された鏡に反射しています。
そして最後の作品。Tracking Happinessというタイトルのビデオ作品はMircea Cantor/ミルチャ・カントルの代表作でもあり、ヨコハマトリエンナーレでも展示されていたので見た方も多いでしょう。
ミルチャ・カントルの作品ではよく「7」という数字が使われます。たとえば先ほどの虹ももちろん7色。そしてこのビデオでは「7」人の細く白い女性たちが、ダンスをするように円や線を描きながら、見ている私達の心がやすらいでいくような優しい一定のリズムで、地面に敷き詰められた白い砂をほうきで掃いていきます。
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まるで雲の上をそうじしているように、自分たちの歩んだあとの足跡さえも消しながら、もくもくと終わりのないそうじを続ける女性達。最初は平和なだけの映像に見えていたものが、だんだんなんだか空恐ろしい光景に見えてくる、地球上で起こる醜い出来事を消そうとするかのように、彼女達は永遠にそして無力にほうきを右へ左へと動かし続けているにも見えてくるのです。

今までに見たインスタレーションでも思ってたことですが、ミルチャ・カントル の展示を見るといつも「自分の作品を既存の空間にうまく調和させながら展示するのがうまいなあ。」と感心します。作品自体は「空間」というものに対する何らかのアプローチをコンセプトにもってきているものでは全くありません。ただまるでそれぞれの空間が、彼の各作品のために作られたかのように思えるところがあるんです。もうこれはセンスの良さというしかありませんね。

次の展覧会はフランス人アーティスト、マチュー メルシエの個展。
パリからとても近い郊外なので、是非一度足を運んでみてください。


こちらはミルチャ・カントルのカタログたち。




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01/17 03:30 | 展覧会 | CM:1 | TB:0
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