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マウリツィオ カテラン 「Not afraid of Love」@ Monnaie de Paris
セーヌ河沿いにある昔の造幣局、現在のパリ造幣博物館では、たしかもう8年ほど前から現代美術の展覧会、特に世界的に有名なアーティストの個展を開催しています。普段ならなかなか見ることのできないような有名アーティストの作品を、大きくもなく、小さくもない、ちょうどいい大きさの展覧会で展開します。最初のほうは見終わってもなんだか不完全燃焼のような、物足りないような気もしていたけれど、ここ数年は空間の使い方も良いし、ただ私がこの建物での展覧会の規模を身体的に記憶しただけかもしれませんが、ちょうどいい感じの規模のよい展示をしていると思います。

そして今は、2016年10月21日から2017年1月8日まで、なーんとなんと!マウリツィオ カテランの個展「Not afraid of Love」を開催しています。
これも行きたい!絶対に子連れで行きたい!という展覧会。
行って参りました。


造幣博物館の入り口に近づいてくると、ん?なんかいつもと違う。建物の窓になんか文字がついてる。
写真中に見えるだけでも、BRUTAL/乱暴、PROFOND /深い、SOLITAIRE/孤独、TENDRE/優しい、IRREVERENT/無礼 などなど、いろんな形容詞が掛かっています。これ絶対カテランの展覧会に関係してるわ!カテランの作品を表現した言葉に違いない!とわくわくどきどきさせるにくい演出。
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アーティスト活動の休止を発表してから5年。30年近いアーティストとしてのキャリアの中で生まれた作品のうち、20点が展示されています。
みなさんもすでにご存知でかと思いますが、マウリツィオ カテランは1960年パドゥー生まれのイタリア人アーティスト。ということは今年で56歳。
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こちらの写真は今年の夏にパリのギャラリーラファイエットで開催された、カテラン展のオープニングでの彼。 フランス、というかパリのアートやらファッションやら関係のパーティー写真を載せたサイトSay Whoから借りました。ちょっとしたおしゃれなオープニングパーティに行くとSay Whoのカメラマンがほぼ絶対います。チャラチャラしてて楽しいし、おー誰さんも来たはったんかー。誰と誰は知り合いなんかー。など下世話に見るのが好きな私も、定期的にチェックしてます。

若い頃は清掃夫や葬儀屋さんとして働いていたカテランですが、とにかく生きていくために仕事をするということから解放されたくて仕方なかったらしいです。そうこうしてるうちに家具デザイナーになっていたカテランは徐々にアートの世界に入っていきます。(すでによくわからん経歴ですけど。)

なんかでも働くのが嫌で嫌で、多分、近年の現代美術市場で最もセンセーショナルな状況の渦中にいて翻弄されたアーティストと言っても過言ではないカテランなので、ちょっとアーティスト活動を休んだのも納得というか、世間の目から離れたかったからこそのこの5年の休止かと思いますが、あー、お金足りなくなったのかしら。ともちょっと思ってしまいますね。これまた下世話ですが。個人的には、あの評価額暴落(高騰し過ぎてたのが異常だっただけで別に暴落ってわけじゃないともいえますが)のあとすぐに休止したのは頭のいい最良の選択だと思います。偉そうに上から言ってすいませんが。

カテランは自分自身の像をインスタレーションに組み込むような自画像的作品をよく発表していましたが、今回の回顧展ではその傾向が特に強く出ています。彼自身の彫刻がたしか4点もありました。(そういえばこないだパリのエマニュエル ペロタン ギャラリーでやっていた村上隆 の個展でも村上隆のめちゃくちゃ気持ち悪い彫刻が展示されていました。その話はまた今度。書けたら書きます。)

ちなみに展覧会のタイトルNot Afraid of Loveは、カテランの作品の1つ、それもめちゃくちゃ有名なやつと同じです。そうそう、あの象に白い布をかけ目のところだけ穴が開いてる彫刻と言えば、ピンとくる方も多いかもしれません。この作品を見ると、いつも「頭隠して尻隠さず」のことわざが浮かんできます。
これね。でもこれ、この展覧会では展示されていません。それが意図的なものなのか、予算やらの問題なのかはわかりませんが。


前置きはこのへんで。では行ってみましょう。

ベビーカーあるし、裏のエレベーターから行くか、となってはいけません。階段からあがってください。
だってこれがあるんやもん。
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Novecento 1997(ぶら下がった馬)とUntitled 2007(箱の中の女性の彫刻)
あーこの馬の作品ってなんかつい最近な気がするけど、もう20年も前のものなんやー、そら私も年とるわけや、となんか変な感慨が、、、。
この天井から釣り下がった馬、娘は何回も何回も、展覧会の途中で他の作品を見てるときでも、急に戻って見に行ってました。


そして早速どーん!これはもう現代美術の有名作品というより、現代美術市場の歴史的作品といったほうがいいですね。

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La Nona Ora 1999

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Untitled 2003
私が生まれて初めて目にしたカテランの作品がこれでした。写真を大きくしないと見えないかも。当時まだ私はフランスのリヨンという地方都市で美術史の学生をやっていて、テロー広場という市役所前(この広場には自由の女神を作ったバルトルディ作による噴水とダニエル ビュレンのインスタレーションがあります)を歩いていたら、どこからか太鼓の音が聞こえてきたんです。ん?何?と音が聞こえるほうをみあげると、広場に面した美術館の屋根の上で、足をぶらぶらさせた男の子が太鼓たたいてる!もう心臓が飛び出るかと思ったし、実際大騒ぎして消防に電話してる人までいたとかいないとか。

そしてもちろん、私の娘も男の子に唖然。隕石落ちてきたローマ法王はそっちのけで「男の子が落ちちゃうよ、お母さん。危ないよ危ないよ。」と。ちゃんと説明してもなかなかその場を離れませんでした。
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トイレの扉があるちょっとした空間の上にも。Mini-Me 1999とthe others
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はいきたー。ロッテルダムのBojimans Van Beuningen美術館にある作品 Untitled 2001
もう何年前だろう、ロッテルダムに急に出張が決まって、最初に思ったのが「ああ!やっとカテランのあの作品が見れる!!」だった。
そのときの「あの作品」が今年はパリでも見れます。
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まーとりあえず写真とりまくりたくなる展覧会であることは誰にもそうだと思います。
この作品を活かすためにか、この展示室だけ壁が荘厳な感じの赤に塗ってありました。


We 2011
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Charlie Don't Surf 1997
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All 2009
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Untitled 2007
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Untitled 2000
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カテランの作品はミーハーに結構全部すきなんですが、私が見た事のあるカテランの作品の中で一番好きなのはこれです。
初めて見たときに心臓がドキンとしたあの感覚は絶対忘れられない。展示室に足を踏み入れた瞬間に目にはいる背中。これがこの作品の全部だと思っています。ヒトラーの顔でも、組んだ手でも、見上げた視線でも、ひざまづいた足でもなく、私にとっては、視界の中に突然はいってきて全部持っていってしまう彼の背中が全てです。
Him 2001
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いくつか写真を載せてない作品もありますが、基本的にはカテランの有名作品ばっかりで観たことがないものはありませんでした。
そんな人は私だけではないと思いますが、何度も見てる作品だとしても、カテランをどう観るか、どう読み解くか、どう感じるか、どう楽しんだり怒ったりするのか、そこがカテランの深みだと思います。そういう部分をうまく引き出して展覧会をとても魅力的なものにしていたのが、様々な業界の著名人が書いた作品解説でした。女優、舞台監督、キュレーター、ギャラリスト、美術批評家、料理人、デザイナー、元大臣から、現フランス文化省大臣まで、今展のキュレーターの依頼によりいろんなスタイルのテキスト(それもかなり長め)で彩られた作品達。
そして、最初の写真のように、造幣美術館の建物に掛かっていた形容詞たち。
個展の場合は、こういうちょっとしたアイデアやスパイスが、キュレーターの腕の見せ所やなあと思います。

造幣美術館のサイトにちゃんとした写真いっぱい載ってるのでこちら見てください。

最後に、展覧会解説のパンフレットをもらったら、いっしょに子供向けの小パンフレットもついてきました。
こういうのって大したこと書いてないんやけど、「なるほど、子供へはこれくらいの情報でいいのね」とか「こういう言い回しでいえばいいのね」なんて結構便利です。
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いやーしかしここの展覧会は毎回、予算あるなーと感心します。そんな簡単に個展なんてできないような高額有名アーティストのものが多いし、どこからお金を引っ張ってくるんでしょう。文化プログラム担当でキュレーターのキアラ パリジさんがやり手なんでしょうね。
展覧会が終わっても、これで終わりじゃありません。すぐ近くに造幣博物館のブティックがあるんですが、そこに立ち寄るのもお忘れなく。


Monnaie de Paris
11 Quai de Conti
75006 Paris
毎日11時から19時まで。木曜日22時まで。

学生さんは木曜日の19時以降は無料です。

ブティック
2 rue Guenegaud
75006 Paris
毎日11時から19時まで。
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11/21 22:24 | 展覧会 | CM:0 | TB:0
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