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Where are we going? 塩田千春 @ Le Bon Marché
よく考えたら、仕事場から左岸のデパートLe Bon Marchéまで徒歩15分なので、お昼休みに塩田千春Where are we going?展に行ってきました。

塩田千春さんといえば、1972年生まれのベルリン在住日本人作家。2015年にはヴェネチアビエンナーレの日本館での展示も話題になりました。フランスでは最近創業50周年を迎えた老舗のダニエル タンプロン ギャラリーがお抱え作家として扱うようになってからか、アートフェアやギャラリーでも作品を普通に目にすることができるようになった作家さんです。
それにしても彼女のバイオグラフィーを見ると、一年に手がける個展の多さにびびります。

さて本題。
ルボンマルシェ本館のウインドウ。セーブル通り側のウインドウ全部が塩田千春の作品で埋まっています。
私の写真だと背景が映りこみまくっていて何がなんだかわからないかと思うので、このサイトで見てもらったほうがいいかも。
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ルボンマルシェの商品を絡ませつつの、糸のインスタレーションかな、と思っていたんですが、商品は一切無し。まるっきり塩田千春ワールドでした。世界地図が絡まっているウインドーがひとつ、他には黒いワイヤーでできた船を中心にもってきたインスタレーションが結構ありました。ウインドー全部同じ調子なので、これもうちょっとバリエーションがあればなあとは思いました。

そして本館の天井から吊るされたインスタレーション。
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実際に作品を見る前に写真で見ていたのですが、当たり前ですが、写真よりぜんっぜん実物のほうが美しかったです。
なんだか不思議に思うのですが、白い糸というのは、実は塩田千春が今までに使ったことがない素材だったらしいのですが、今回はルボンマルシェからの提案で、「Le Mois du Blanc/白月間」にあわせて、白い糸を利用してインスタレーションをすることになったようです。ちなみに「Le Mois du Blanc/白の月、白月間」というのは、ルボンマルシェの創設者であるAristide-Jacques Boucicautが提唱したもので、クリスマスやら新年やらいろいろ終わったあとに、バーゲンもはじまる1月に家の白リネンを一新しましょう。っていう習慣らしいです。なんか日本の大掃除とか歯磨き新しいのにするとかそういうのっぽい習慣ですね。めちゃくちゃ商業的やけど。
話はそれましたが、この白い糸というより、船を吊ってる黒い糸が、船をささえてるだけじゃなくて、だらだらーっと墨汁でたらしたようにたれさがってて、それがめっちゃかっこよかったです。なんか写真だとあまり伝わらないと思うんですが。

他にはこういう通り抜ける系のインスタレーションもあって、メイキングやアーティストインタビューの映像が流れています。展覧会エコバッグとかキーホルダーまで売ってたのには驚きました!
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さてさて、展覧会の感想としては、なんか腑に落ちないというか不完全燃焼感がぬぐえませんでした。それはインスタレーションや空間の使い方とかいったことでは全くなくて、そういう作品の部分はいつもどおりの塩田千春ワールドでしっかり堪能できたんですが、タイトルやモチーフや作品から受ける印象や強さと、ステートメントとのギャップにもやもや感がぬぐえなかったのです。

まずタイトル。Where are we going?といえば、やはり思い出すのはポール ゴーギャンの超有名作「Where Do We Come From? What Are We? Where Are We Going? /我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」ではないでしょうか?
where-do-we-come-from-what-are-we[1]
昨今の世界事情を考えても、いや、シリア問題やISによるテロ事件など、欧州に生きていれば否応なしに毎日感じざるを得ない「私たちは、世界は、どこへ向かっているんだろう」という不安感、虚脱感、無力感。こういったフレーズは少しずつ変化しながらも普段の会話やメディアの討論、またはSNSなどで多かれ少なかれ発されているものです。
しかしステートメントやインタビューではゴーギャンにも、そういう社会を覆う不安にも、一切ふれられておらず、こうなってしまった状況について批判するでもなく、思考を促すでもなく、ただ「人生は目的地のない旅」的な紹介がされているのみ。

次は、船のモチーフ。塩田千春が近年よくつかっているとは言え、やはり船、それもこんないわゆるボート。地中海を渡ってなんとか助けだされる難民たちの姿を連日目にしている私たちに、それを連想しないことは無理な相談です。こんな世の中じゃなかったら、船、それもこういう形状の小型の船は、あまり死とは結びつかないかもしれない。でも私は今回のインスタレーションが、三途の川を渡る船、またはヨーロッパを夢見て地中海で命を落とした難民たちを満載した船が、空へのぼっていくようにしか見えませんでした。

私だけでしょうか?現代作家がいつも社会的なエンゲージメントをする必要もないし、ただただ夢のような美しい作品をつくることだけに心を砕くことにも全く問題は感じません。ただ、全てではないですが、塩田千春さんの作品をいくつか見てきて、いつも心をわしづかみにされるような気持ちになるし、それだけのエンゲージメントがあるからだったはずなんです。今回も「わー、強い!でもこれデパートじゃなくて違う場所でやったほうが好きかも。」と思ったあとの、ルボンマルシェに貼ってあるステートメントのふにゃふにゃ感に、まずは「ん?」と意味が理解できず、次にずっこけ、そして「なんでやねん!」と心で突っ込み、話す相手もいないので、ひたすらもやもやした帰り道でした。なんなの、デパート、守りに入ったの?と。疲れる昼休みやったわ。

見に行った方たち、どう思われました?

次は塩田千春のCollege des Bernardinsとかでの展示見てみたいなー。あとパレドトーキョーとか。

ちなみにルボンマルシェはギャラリーラファイエットみたいに派手に「おらおらおら、やるでー!現代美術やるでー!若いアーティスト集まってこーい!お金あるでー!」という感じではないですが、現代美術に力を入れています。
ルボンマルシェのサイトには、館内の現代美術作品地図まであります。作品リストはこちらから。こうやって改めてリストを見ると、いかに作品の購入先のギャラリストが偏ってるかわかりますね笑。そういうのも含め、ルボンマルシェ全体での取り組みというより、2010年に引退するまで20年以上ルボンマルシェの社長だったフィリップ ド ボーヴォワールさんが、ちょこちょこ買いためた感が非常に強いコレクションです。一点ずつは数百万円ほどの作品なんですが、それがまたルボンマルシェの通路に、ガラスで額装されているわけでもなく、キャンバスむき出し、釘2本に枠がひっかけてあるだけの展示方法。デパートに買い物に来てる一般客なんかカバンがあたろうがコートがすれようが、別になんとも思わないでしょうし、まず数百万円価値の作品たちがそこここにここまでむき出しというか野ざらしでかかっているなんて、普通思いませんよね?いや、思わないよね?私が庶民過ぎるわけじゃないでしょ?私はここに来るとそういう作品のことを考えてしまって、心配で心臓に悪いので、あまり来ません。

どちらにしてもルボンマルシェはLVMHグループの傘下にありますので、もうルボンマルシェコレクションだとかやらずに全部LVMHがまとめてやっちゃってるんでしょうかね。

ルボンマルシェでの塩田千春展、2月18日までですので、是非急いでください!

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02/08 00:49 | 展覧会 | CM:0 | TB:0
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