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運び屋kana


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下っ端kanaのギャラリーのお仕事の中で、「運び屋」というのがあります。
美術運送業者に頼むまでもないような比較的小さい作品を、パリのメトロやタクシー、はたまた徒歩なんかを利用して、時にはコレクターの家へ、時には美術修復家さんのところへ、時には額縁屋さんのところへ、時にはギャラリーからギャラリーへと運ぶのです。

今日は先週購入された作品をコレクターさんの家へ運び、帰りに小切手を持って帰ってくるということをしました。普段の私なら「こんなくらいならメトロで余裕!」と言い切って、果敢に出て行くのですが、今日行くところはメトロの乗り換えが邪魔臭そうなところだったし、雨も降っていたので、みんなの「そんなもんタクシーで行き!」というありがたい意見を汲んで、楽しました。

そのタクシーで、運転手さんと
「何を運んでるの?」
「絵ですよ。」
「いくらくらいするの?」
「これは6000ユーロですよ。」
「へー!何のために?」
「コレクターの家に飾るために?」
「へー!そんなん飾ってる家もあるんやねえ。」
「君のギャラリーにはもっと高いものもいっぱいあるの?」
「これは紙に油絵の作品ですから安いほうですよ。絵画ならもっと高くなりますよ。」
「へー!でもそういうのんを買う人はお金持ちやから、6000ユーロの買い物なんてふつうなんかねー。」
「そうですねー。下っ端の悲しいギャラリーアシスタントでしかない私にとっては何でも高いですけど、高いか安いかなんて、すべて相対的な概念ですからねー。」
「ほんまやなー。いつか宝くじにあたったら、君の働くギャラリーで買い占めに行くわ!」
「是非是非!そのときは私の名前出してくださいよー!マージンもらえるかもしれないし。」
なんて。


運んでいる作品の値段を聞かれたときは、「ひや、誘拐されるやろか。脅されるやろか。」と意味もなく心配になった小心者の私ですが、今までこうやって数々の現代アート作品たちを運んできたなあと思い出しました。

一番辛かったのは、額縁屋さんに預けていたゲルハルト リヒターの写真に絵の具で彩色した作品を、絵の具が額縁のガラスの部分にくっついてはがれないということで美術修復家さんのところに運んだとき。真夏のとても暑い日で、額縁屋さんで作品を受け取ったのはいいけれど、普段はパリでつかまりにくいタクシーをつかまえるのを特技としている私なのに、その日は何故かつかまらない。空きタクシーが来ない。そのうえ結構大きくて重い作品を抱えているので、動きが鈍くなってしまって、暑くて汗はダラダラでてくるし、タクシーはつかまらないし、「ゲルハルト リヒターの作品(めっちゃ高い)なんて抱えてこんな人通りの多いところにいて、そのうえガラスの額縁やし壊れやすいし、もーどーしたらえーのー!」と泣きそうになっていました。
結局タクシーは額縁屋さんからかなり離れた大通りで何分も待ってつかまえることができました。
自分へのご褒美に修復屋さんのところについてからは、やけにそこに長居して、彼等の作業を観たり、修復中の作品の過程を説明してもらったり、社会見学満喫しました。

一番怖い思いをしたのは、私の働くギャラリーから比較的近い場所に位置するほかのギャラリーまで、マックス ベックマンの作品を取りに行ったとき。
ギャラリストに「○○ギャラリーにまで作品を取りに行って。ギャラリーの名前を出したらすぐわからはるから。」ということで、一体誰の作品を受け取りに行くのかも何も知らずに行ったのです。ほんで着いてみて、ギャラリーの名前を出して私の前に現れたのはマックス ベックマンの素晴らしいデッサン。うっひょー!と思うのもつかの間、「じゃあ良い一日を!」と言われて送られました。今なら「あの、目隠しのためだけでもいいですから軽く梱包してください。」だとか、前もってそのギャラリーに電話して梱包されているかどうか、もしもされていない場合は自分で梱包グッズを持って行くなんてこともできるんですが、その当時はまだ研修生で、右も左も分からない頃。
「ええー!」と思いながらも、丸見えのマックス ベックマンを両手に抱えてギャラリーへと帰って行ったのです。その途中にはポンピドゥーセンター横にあるニキ ド サンファルの彫刻がある噴水があって、子供たちがこれまたサッカーしていたんです。子供のサッカーやし、ボールはどこに飛んで行くのか予想不可能。上記の場合は暑くて出る汗&デブ汁だったんですが、今回はひたすら冷や汗でした。


本当に低賃金肉体労働者は辛いよ。

だから、パリで作品ぽいものをヒーフー言いながらメトロもしくは徒歩で運んでいるちっちゃい日本人の女の子を見かけたら、それは私だと思うので、遠慮なく誘拐してください。


でも私の心配より作品の心配のほうがされそうなのも、悲しき下っ端の人生。

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